未来のお墓研究所
更新日:2023.08.31
お墓
供養
お盆のお墓参りの服装・お花・お供えは?お墓参りのマナーや手順を解説
目次
1. そもそもお盆にお墓参りをする理由
日本には古くから「お盆に先祖の霊があの世から帰ってくる」という考え方があり、お墓参りに行って先祖の霊を迎えに行くという文化があります。お墓参りでは、お墓の周辺や墓石の掃除、お供物やお花の交換、合掌礼拝を行うのが基本の手順です。
現在は、「お盆は混雑する」「お墓が遠い」などの事情で、お盆にお墓参りできない方が増えています。お墓参りはいつ行ってもよいため、お盆以外に改めてお墓参りしても問題ありません。大切なのは、故人や先祖に手を合わせて感謝する気持ちです。
どうしてもお盆にお墓参りに行けない場合は、「時期をずらして行く」「代行サービスを利用する」「自宅で手を合わせる」など自分に合った方法で、先祖に感謝する機会を持ちましょう。
2. お盆のお墓参りの持ち物やマナー
ここでは、お墓参りの主な持ち物8点と、お墓参りのマナーについて解説します。気持ちよくスムーズにお墓参りできるよう、ポイントを押さえておきましょう。
お墓参りの主な持ち物
お墓参りには次の8点を持って行くとよいでしょう。
線香
線香をあげるのは、「故人は線香のよい香りを食す」「煙で天上と現世を繋ぐ」「自身やその場を清める」などの仏教的意味に由来しています。
線香の種類は大きく分けて2つ。1つが「杉線香」で、煙の量や香りが豊かなタイプで「墓線香」とも呼ばれます。もう1つが「匂い線香」で、白檀や伽羅などの香料を加えたもの。ローズやラベンダーの香りなどもあり、一般家庭でも使われるタイプです。種類に決まりはないので、ご自身や故人が好きな香りの線香を選んでもよいでしょう。
線香は一束単位で持っていき、一緒にお墓参りに行った方々に分けます。1人がお供えする線香の本数は、宗派によって異なりますが1〜3本が一般的です。
ロウソク(ロウソク立て)
ロウソクには、「不浄なものを祓い清める」意味と「ご先祖様にお参りに来た人を知らせる」役割があるとされています。
お墓参りに来たことを知らせる役割のため、お墓に到着したら、まずロウソクに火を灯すのが基本。ただし、墓石の掃除に支障が出る場合は、掃除が終わってからロウソクに火を灯しても構いません。ロウソクの蝋が垂れて墓石を汚さないよう、ローソク立てや小皿を使用しましょう。
ライター
線香やロウソクに火をつけるためのライターが必要です。安価なライターでも問題ありませんが、風が強いと火がつきづらいため、ターボライターなどのジェット式がよいでしょう。
お墓参りや仏壇での使用にふさわしい色味の落ち着いたライターや、風除けつきのジェット式の線香用ライターもあります。
数珠
数珠がないとお墓参りができないわけではありませんが、お墓参りには数珠を持参するのが正式なルールです。葬儀や法要では必須になるので、1つは持っておくようにしましょう。
数珠の種類は、大きく「本式数珠」と「略式数珠」の2つ。「本式数珠」は108個の珠でできており、さらに宗派ごとに構造が異なります。球数が少なく、宗派問わず使用できる数珠は、「略式数珠」または「片手数珠」と呼ばれます。宗派が分からない方やこだわらない方は、略式数珠でも問題ありません。
数珠は、合掌礼拝の際に使用します。持ち方は宗派ごとに異なりますが、こだわりがない場合は、数珠の輪を左手のみに通す持ち方で問題ありません。
生花
お供えの生花の定番といえば、菊。長持ちして、枯れても散らかりにくいため、仏花として重宝されています。そのほか、お盆の仏花に用いられるのが、リンドウ・キンセンカ・スターチス・トルコキキョウ・ユリ・カーネーションなどです。
近年は仏花も多様化しているため、あまりルールにこだわる必要はありません。故人が好きだった花を選ぶのも1つ。ただし、花ごと落ちて縁起が悪いとされる椿やサザンカ、毒のある彼岸花、棘のあるバラやアザミは避けるのがベターです。
花の本数は、仏教的に縁起がよいとされる奇数(3本・5本・7本)が一般的。左右の花立てに、5本・5本など対称になるように供えましょう。ユリなど花粉の多い花を供える場合は、衣服を汚さないよう、予め花粉を落としておくのがおすすめです。
食べ物・飲み物
故人が好きだった食べ物・飲み物をお供えします。お盆には、痛みにくい焼き菓子や果物・お酒・ジュースなどがよいでしょう。墓石を汚さないよう、お供えを置く半紙や懐紙も持参してください。
お供えした食べ物や飲み物は、腐ったり動物に荒らされたりしないよう、持ち帰るのがマナーです。持ち帰って食べてもいいですし、墓前で食べることもマナー違反ではありません。墓前で故人が好きだったものをいただきながら、思い出話に花を咲かせるのも供養の一つかもしれませんね。
お水
掃除に使用したり水鉢に備えたりする水が必要です。水を運ぶ手桶やバケツ・柄杓を用意しましょう。水鉢がない場合は、湯呑みに入れたお水をお供えすることも可能です。ただし、湯呑みは放置せずに必ず持ち帰ってください。
霊園で手桶やバケツを借りられる場合もありますが、借りられない場合は折りたたみ式のバケツを持っておくと便利です。
掃除用具
スポンジ・タワシ・タオル・箒・チリトリ・歯ブラシ・軍手・ゴム手袋・ゴミ袋などがあると便利です。スポンジやタワシは、墓石を傷つけない柔らかい素材を選んでください。掃除の後に墓石の水分を拭き取るために、タオルは多めに持って行くとよいでしょう。
お墓参りに適した服装
お盆のお墓参りは普段着で構いません。気温・湿度が高い時期のため、熱中症に注意して露出の少ない清潔感のある服装を選びましょう。ただし、初盆で法要を行う場合、普段着はマナー違反とされることがあるため、夏用の礼服で出席します。
なお、普段着の場合でも、派手すぎる服装や露出の多い服装は避けましょう。僧侶や他の参列者の方と顔を合わせる可能性があるため、男女ともに白や紺、黒などの落ち着いた色の服装がおすすめです。
近年では、あまり服装に神経質になる必要はありませんが、殺生を意味する毛皮・皮革・アニマル柄などは避けるのがベターです。
お墓参りの時期・時間
お盆の時期は、全国的には8月13日〜16日ですが、一部地域では7月13日〜16日に行っています。
8月のお盆の場合、お墓参りは13日の午前中までに済ませるのがよいとされています
やること | 日付 | 内容 |
---|---|---|
お墓の掃除 | 12日 | 日常生活でも来客前に家の掃除を済ませるように、お墓の掃除は12日、遅くとも13日の午前中までに済ませるのが理想です。 |
お墓参り | 13日 |
ご先祖様の魂がこの世へ帰ってくる日です。お迎えの意味を込めて、この日にお墓参りします。
※関東地方の一部地域では留守参りという風習があり、14日15日にお墓参りをすることがあります。 |
送り火 | 16日 | お盆の最終日である16日に、あの世へ戻るご先祖様の魂のお見送りを兼ねてお墓参りし、送り火を炊きます。 |
お墓参りはできるだけ午前中に済ませ、日没以降のお墓参りは避けましょう。墓地や霊園によっては、足場が悪く転倒の危険があります。お墓をていねいに掃除するためにも、お墓参りは明るいうちに行くのがベストです。
お布施
僧侶に合わない場合、お布施は必要ありません。新盆の法要などで僧侶をお呼びする場合は、お布施を用意しましょう。お布施の相場は5千円〜1万円程度。交通費として御車代を5千円〜1万円程度。法要後の会食に僧侶が参加しない場合、御膳料として5千円〜2万円程度をお渡しします。
お布施・御車代・御膳料は、それぞれ別の封筒に入れて用意します。水引のない白い封筒に入れ、表書きの上段に「御布施」「御車代」などと書き、下に施主のフルネームか「○○家」と書きます。裏面には、氏名と住所、包んだ金額を記載しましょう。香典とは異なり、薄墨ではなく黒墨で書いて問題ありません。
なるべく新札を選び、お札の表(肖像画がある面)を封筒の封側に向けて入れるのがマナーです。
3. お盆のお墓参りの基本的な手順
お盆のお墓参りには大きく分けて4つの手順があります。
Step.1 | お墓を掃除する |
---|---|
Step.2 | 生花・菓子・飲み物を供える |
Step.3 | お線香を供え合掌する |
Step.4 | 後片付けをする |
Step.1お墓を掃除する
手を洗い清めてからお墓掃除に取り掛かりましょう。まず、敷地内の雑草やゴミを取り除きます。次に、お墓に水をかけてスポンジなどで擦って汚れを落とします。墓石周りの水鉢や花立て、線香受けなどもていねいに洗いましょう。
寺院墓地の場合は、お墓に向かう前に本堂にお参りをします。永代供養墓や共同墓などの合祀墓がある場合、併せてお参りしましょう。ご先祖様のお墓の隣にお墓がある場合、ご先祖様の代わりにお参りをして感謝の気持ちを表します。
Step.2生花・菓子・飲み物を供える
半紙を敷いた上に、生花・菓子・飲み物などのお供え物を置きます。生花は茎の長さを揃え、新しい水を入れた花立てに入れましょう。
Step.3線香を供えて合掌する
火をつけた線香を線香受けに寝かせ、合掌礼拝を行います。故人と縁が深い方から順に行うのが一般的です。合掌礼拝の際には、墓石よりも体を低くするのが礼儀のため、墓石の前にしゃがみます。数珠を手にかけて合掌しましょう。
Step.4後片付けをする
お供えした菓子・飲み物の後片付けをしましょう。残しておくと、菓子・飲み物の残りが墓石を汚してしまう可能性や、動物が食べ散らかしてしまう可能性があります。お供えものは墓前でいただくか、持ち帰ってからいただきましょう。
4. お盆に特別な供養をするケース
通常のお盆では、お墓参りに行ってお墓の掃除と合掌礼拝をするのが一般的です。それ以外に、法要を行う新盆や、迎え火・送り火を行うケースをご紹介します。
新盆(初盆)の場合
新盆とは、故人が亡くなってから四十九日を過ぎ、初めて迎えるお盆のことです。新盆では、13日にお墓参りを行い、14日・15日に僧侶を招いて法要や会食を行います。法要には、親族のほか、故人と親しかった方を呼ぶのが一般的。さまざまな手配が必要となるので、余裕を持って早めに準備を進めましょう。
迎え火・送り火
お盆に先祖の霊が迷わないように火を炊く風習が「迎え火」「送り火」です。新盆のみ行う場合もあれば、地域によっては毎年行うこともあります。お盆の初日の8月13日の夕方に迎え火で先祖の霊を迎え、お盆の終わりの8月16日の夜に送り火で霊を送ります。
最近は、迎え火・送り火がセットになっているものが市販されています。火を炊く際は、周りに燃えやすいものがないか、近所に迷惑がかからないか、十分注意して行いましょう。
5. お盆はお墓参りに行って、ご先祖様への感謝を示しましょう
近年、仏事のマナーやルールも柔軟になってきているため、あまり神経質になる必要はありません。何より大切にしたいのは、故人や先祖に感謝する気持ちです。今回の記事でご紹介した基本的なポイントを押さえて、お盆のお墓参りに行ってくださいね。