未来のお墓研究所
更新日:2025.05.07
樹木葬
お墓
供養
お盆のお墓参り は必要?
時期・マナー・手順・行けない場合の対処法を解説
目次
お盆のお墓参りは必要?その意味と由来
お盆は、ご先祖様に感謝を伝える大切な行事。中でもお墓参りは、特に重要な供養とされています。ここでは、お盆の成り立ちや、お墓参りを行う理由について見ていきます。
お盆とは?
お盆は、仏教行事「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を起源とする先祖供養の行事です。盂蘭盆会では、亡くなった親を救うために供養を行ったという逸話があり、日本ではこれに祖霊信仰が融合し、独自の文化として根づきました。
お盆の時期には、ご先祖様が家に戻ってくるとされ、家族で迎え、供養し、感謝を伝える習慣が続いています。
お盆にお墓参りする理由
お盆にお墓参りをするのは、先祖供養のためだけではありません。お墓は、ご先祖様と向き合い感謝を伝える場であり、手を合わせることで心のつながりを感じることができます。
また、普段離れて暮らす家族が集まり、命のバトンを受け継いでいることを改めて意識する大切な時間にもなります。お墓参りを通じて、家族の絆を深めるきっかけにもなるでしょう。
お盆のお墓参りの時期と時間帯
お盆のお墓参りは、ご先祖様に思いを届ける、日本ならではの大切な風習です。地域ごとの違いや、適したタイミングを理解することで、より深い感謝の気持ちを込めてお参りできるでしょう。
一般的なお盆の時期(7月or 8月)
お盆は、地域によって7月に行う「新盆」と、8月に行う「旧盆」に分かれています。東京都・神奈川県・石川県・静岡県それぞれの一部地域では7月13日〜16日に行うことが多い一方、全国的には8月13日〜16日の旧盆が一般的です。
また、お盆には「迎え火」と「送り火」を焚き、ご先祖様の霊を迎え、送り出す風習があります。お墓参りはこの迎え火・送り火に合わせて行われることが多く、ご先祖様を“お迎えに行く”という意味も込められています。
<お盆のスケジュール>
地域によって7月または8月に行われます。一部、以下のスケジュールに当てはまらない地域もありますので、地元の方に確認すると良いでしょう。
やるべきこと | 日付 | 内容 |
---|---|---|
お墓の掃除 | 12日 | 来客前に掃除を済ませるように、お墓も事前にきれいにしておきます。12日、遅くとも13日の午前中までに済ませておきましょう。 |
迎え火 | 13日 | ご先祖様の霊を自宅へ迎えるための火を焚きます。お墓参りのあとに自宅で行うのが一般的で、「迷わず帰ってこられますように」という願いが込められています。 |
お墓参り | 13日 | ご先祖様の魂があの世から帰ってくる日です。お迎えの意味も込めて、この日にお墓参りをします。 |
送り火 | 16日 | お盆の最終日である16日には、ご先祖様の魂をあの世へ送り出すための火を焚き、お見送りの意味を込めてお墓参りを行います。 |
お墓参りに適した時間帯
お墓参りは、朝から日中の明るい時間帯に行うのが理想です。朝は空気も澄んでおり、気温が上がる前に掃除やお参りを済ませることができ、体にも負担が少なくなります。
反対に、夕方以降の暗い時間帯は避けたほうがよいとされています。足元が見えづらく事故の危険も増えるためです。
また、ほかの用事の「ついで」にお墓に立ち寄るのは失礼とされることもあるため、できるだけ時間に余裕を持ち、お参りに集中できる時間帯を選びましょう。
お盆にお墓参りする際のマナーについて
持ち物について
お盆のお墓参りの基本的な持ち物は次の7つです。
お盆の基本的な持ち物 | |
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お線香 | お線香の香りはご先祖様のご飯です。仏教教典のひとつ「倶舎論」には「死後の人間が食べるのは匂いだけで、善行を行った死者はよい香りを食べる」という記述があります。また、あの世への道標としてや、自分の心と体を清めるためにも重要です。着火のためのライターも持参しましょう。 |
生花 | お墓に供える生花に決まりごとはありませんが、長持ちする花が選ばれる傾向があります。長持ちし、枯れた際に散らかりにくい菊が仏花として日本では伝統的に選ばれることが多いです。 |
ロウソク | お線香を付けるために用意するだけでなく、ご先祖様がお墓参りに来ている人たちの顔をはっきり見られるようにする意味もあります。またロウソクの灯りは邪気を祓い災いを避ける魔力があると信じられています。 |
お水 | お参りをする人の心を清める意味があります。水鉢がある場合、そこに綺麗な水を入れてください。水鉢がない場合、湯呑等にお供えしましょう。掃除の際にも利用します。 |
菓子・飲み物 | 故人が好きだった菓子・飲み物をお供えしましょう。暑い季節の持ち運びを考え、日持ちのする菓子・飲み物を選ぶのがおすすめです。お供えものを置く半紙も併せて準備しましょう。 |
数珠 | 墓前で合掌する際に使用します。また、持っているだけで魔除けとなるため、日頃から持ち歩くと良いとされています。 |
掃除用具 | 手桶・柄杓・柔らかいスポンジ・タワシ・タオル・ちりとり・軍手・ゴム手袋・ゴミ袋など、掃除用具を用意しましょう。手桶・柄杓の貸し出しを行なっている霊園もあります。 |
服装について
お盆のお墓参りは、基本的に普段着で構いません。ただし、暑さが厳しい時期でもあるため、熱中症対策を意識しつつ、露出を控えた清潔感のある服装を選びましょう。
なお、初盆(新盆)で法要を行う場合は、普段着ではマナー違反とされることがあります。その場合は、夏用の礼服を着用して参列するのが一般的です。
普段着の場合でも、派手すぎるデザインや、肌の露出が多い服装は避けましょう。僧侶や他の参列者と顔を合わせることも考え、白・紺・黒など落ち着いた色合いの服を選ぶと安心です。
また、毛皮など「殺生」を連想させる素材は避けることが望ましいとされています。最近はそこまで厳しく言われない場合もありますが、アニマル柄など、過度なデザインは極力避けた方が良いでしょう。
お布施について
お盆に僧侶を招いて読経をしてもらう場合は、お布施を用意するのがマナーです。逆に、僧侶に会わない場合は、お布施を包む必要はありません。
お布施の相場は5千円〜1万円程度です。このほか、僧侶の交通費にあたる「御車代」として5千円〜1万円、僧侶が会食に参加しない場合には「御膳料」として5千円〜2万円程度を別途渡すのが一般的です。
お布施は、読経などのお勤めへの感謝を表すものです。御車代は移動にかかる費用として、御膳料は食事を提供する代わりのおもてなしの気持ちとして渡します。それぞれ別々の封筒に包み、丁寧に用意しましょう。
お布施を包む際は、白無地の封筒を使い、水引きは不要です。表書きは上段に「御布施」、下段に施主のフルネーム、または「◯◯家」と家名を書きます。裏面には氏名・住所・包んだ金額を記入し、普通の黒墨を使用します(香典と違い、薄墨は用いません)。
なるべく新札を選び、肖像がある表面を封筒の表に向けて入れるのが礼儀とされています。
お墓参りの流れと手順
お盆のお墓参りには、大きく分けて4つの手順があります。
Step.1 | お墓を掃除する |
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Step.2 | 生花・菓子・飲み物を供える |
Step.3 | お線香を供え合掌する |
Step.4 | 後片付けする |
Step.1:お墓を掃除する
菩提寺または霊園に到着し、手を洗い清めた後に、お墓掃除を行います。敷地内の雑草やゴミを取り除きましょう。次に水をかけてスポンジなどで擦り、墓石の汚れを落とします。墓石周りの水鉢や花立、線香受けなども丁寧に洗いましょう。
なお寺院墓地の場合は、ご先祖様のお墓に向かう前に、本堂にお参りをします。寺院墓地内に永代供養墓や共同墓などの合祀墓がある場合、併せてお参りしましょう。またご先祖様のお墓の隣にお墓があれば、お参りをして様々な方にお世話になっているご先祖様の代わりに感謝の気持ちを表します。
Step.2:生花・菓子・飲み物を供える
半紙を敷いて、その上に生花・菓子・飲み物などのお供えものを置きます。生花は茎の長さを揃え、新しい水を入れた花立に入れましょう。
Step.3:お線香を供え合掌する
ロウソクなどを使いお線香に火をつけ、お線香を線香受けに寝かせ、合掌礼拝を行います。故人様と縁が深い人から順に行うのが一般的です。
合掌礼拝の際には、墓石よりも体を低くするのが礼儀のため、墓石の前にしゃがみます。数珠があれば手にかけて合掌しましょう。数珠の持ち方は宗派で異なりますが、左手に持ち、親指と人差し指の間にかけるのが一般的です。
Step.4:後片付けする
お供えした菓子・飲み物の後片付けをしましょう。残しておくと、菓子・飲み物の残りが墓石を汚してしまう可能性や、動物が食べ散らかしてしまう可能性があります。お供えしたものを食べるのも御供養の1つです。できるだけ残さずに食べましょう。
お盆のお墓参りに行けないときは?
お盆はご先祖様を供養する大切な時期ですが、仕事や家庭の事情でどうしてもお墓参りに行けないこともあります。そんなときでも、気持ちを込めて供養を行う方法はいくつかあります。ここでは、3つの対処法をご紹介します。
自宅で手を合わせる
お墓に行けなくても、ご先祖様を想う気持ちが何より大切です。自宅で仏壇や遺影に手を合わせ、お花やお線香を供えるだけでも、十分な供養になります。気持ちを込めて手を合わせれば、ご先祖様にもその思いはきっと届くでしょう。
代行サービスを利用する
どうしてもお墓に行けない場合は、お墓参り代行サービスを利用するという選択肢もあります。専門の業者が、清掃やお参りを代行し、写真付きで報告してくれるサービスもあります。遠方にお墓がある方や、高齢で移動が難しい方にもおすすめです。
時期をずらしてお参りに行く
お盆の期間にこだわらず、前後のタイミングでお参りに行くのも一つの方法です。お墓はいつ訪れてもご先祖様と向き合える場所。混雑を避けて静かに手を合わせたい方や、スケジュールの都合が合わない場合でも、後日改めて心を込めてお参りすれば問題ありません。
お盆はご先祖様に感謝を伝える大切な時期
お盆は、日頃なかなか意識できないご先祖様とのつながりに想いを向ける、かけがえのない時間です。お墓参りはもちろん、自宅で手を合わせるだけでも、心を込めた供養になります。静かに手を合わせ、「ありがとう」を伝えることで、ご先祖様への敬意と感謝の気持ちはきっと届くはずです。