未来のお墓研究所
線香の意味や由来、
あげ方や種類などを紹介いたします。
ご自宅に仏壇がある方はもちろん、ご葬儀やお墓参りなどで線香をあげたことのある人はほとんどだと思います。最近では様々な種類のお線香が雑貨屋さんで販売されるなど、香りとして楽しむ方も増えているお線香ですが、その由来や正しいあげ方などわからないことも多いのではないでしょうか?そこで今回は線香の意味や由来、あげ方や種類などを紹介いたします。
1. 線香をあげる意味
線香をあげることにはいくつかの意味があります。
故人への食事
仏教では人は亡くなると線香のよい香りを食するという考え方があります。これを「食香(じきこう)」といいます。
亡くなってから極楽浄土に旅立つ四十九日までの間は、故人は線香の香りを食べながら旅をするのです。
そのため、亡くなってから四十九日までは故人の好きな香りを絶やさないようにする必要があります。
仏様と故人とつながる
線香の天に昇っていく煙は、天上と現世をつなぐものとされています。四十九日が過ぎたら線香を焚くことで、仏様となった故人と心を通じ合わせることができるのです。ですから仏壇の前で線香をあげているときは、故人に話しかけることで気持ちを伝えられるといわれています。
自分自身のお清め
線香をあげることは自分自身のお清めやその場所を清める効果があるとされています。仏様に礼拝する際にお線香で身を清めて邪念を取り除き、仏様とつながることができるのです。
2. 線香の由来
香りの歴史はかなり古く、紀元前3000年頃のメソポタミアでは神事で香りの高い木を焚いていたと言われています。
また、古代エジプトではミイラの防腐剤として香料が使用されてました。
その後香料の活用はインドに伝わり、防臭・殺菌の用途で用いられました。インドは沈香や白檀の産地でもあり、仏教で心身を清浄するために使用されるようになりました。
日本の線香の歴史は飛鳥時代に仏教徒ともに伝わった香の文化が始まりと言われています。当初は仏事や神事に使われていましたが、室町時代には公家の贈答品として用いられ、江戸時代になると一般家庭にも普及していきました。今の棒状のような原形ができたのも江戸時代初期のことでした。
3. 線香の由来
線香のあげ方は地域や宗派によって異なります。
お墓参りの場合
お墓参りの場合は、線香をあげる前に墓石に水をかけ、供花を飾り、お供え物を備えてから線香をあげます。
一般的な線香のあげ方は、最初にお墓に軽く一礼してからろうそくに火をつけます。ろうそくから線香に火をつけて手であおいで火を消し、お墓のお線香を入れるスペースに立てます。合掌し一礼したら、ろうそくの火は手であおいで消します。
仏壇にあげる場合
仏壇にあげる線香の本数は宗派によって異なりますが、浄土宗は1本から2本を香炉の中心に立てます。日蓮宗・曹洞宗・臨済宗は香炉の中心に1本立てます。天台宗・真言宗は3本を逆三角形になるように立てます。
浄土真宗では線香は立てず、折って寝かせます。日蓮正宗では折らずに寝かせます。
仏壇の前に座り一礼します。ろうそくに火をつけ、ろうそくの火を線香の先にかざし火をつけます。火を手であおいで消し、煙が出ていることを確認して香炉にさして立てます。おりんを鳴らして合掌し一礼をします。終わったらろうそくの火は手であおいで消します。
4. 線香の種類
線香の種類は大きく分けて2種類あります。一つは「杉線香」と呼ばれるもので、煙の量が多く、香りも強めでお墓参りによく疲れわれるため「墓線香」とも呼ばれます。この線香は杉の葉の粉末で作られているため杉の香りがします。
もう一つが「匂い線香」で、粘着性のあるタブの木の皮をもとに白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)などの香料を加えたものです。一般家庭などでよく使われているもので、ローズやラベンダーなどの花の香りや柑橘系やりんご、コーヒーなどの食べ物の香りなどもあります。匂い線香は自宅での使用はもちろん、お墓にも使用できます。
お線香の形状もさまざまありますが、もっともよく使われているのが細い棒状の線香です。
単寸線香
一番よく目にする細長いタイプの線香です。
長尺線香
お寺で使用されることが多い長い線香で、中には燃え尽きるまで数十時間かかるものもあります。
渦巻き型
通夜や葬式前に遺体を安置する際に使われることが多い線香です。長時間燃え続けるので、線香を絶やしてはいけないときに使用されます。
円錐型
香りが広がるのが早く、灰が散らばりにくいタイプです。
電子線香
火を使わず電気で熱するタイプの線香です。通常の線香とは異なり、灰が落ちたり火が燃え移ったりしないため安全です。
最近の線香は煙の少ないタイプが増え、香りもさまざまな種類が出ています。香りはストレス解消や心身のリラックスなどにも効果があるものなので、自分の好みの香りや故人の好きだった香りを選んで使用するのもいいですね。
また、香炉もさまざまなデザインのものがあるので、いろいろ探してみるのもおすすめです。