未来のお墓研究所
正月のお墓参りはしてもよい?注意すべきポイントやマナーについて
目次
正月のお墓参りは大丈夫?
基本的に、お正月にお墓参りをすることは問題ありません。お盆やお彼岸にお墓参りするイメージがありますが、年間を通してお墓参りをしてはいけない日はないのです。むしろ、年末年始は地元に戻ったり親族が集まったりすることも多く、家族揃ってご先祖さまに新年の挨拶をするよい機会といえるでしょう。
ただし、地域や宗派によっては「お墓参りは年末に済ませるべき」「三が日はお墓参りを避けるべき」と考えることもあります。親族の意見も聞いて、柔軟に判断することをおすすめします。
正月のお墓参りがNGとされる理由
お正月のお墓参りがNGとされる理由のほとんどは、「縁起が悪い」という考えに起因しています。お墓=お悔やみごとのイメージがあるため、おめでたいお正月にお悔やみの場所に行くことに抵抗感を持つ方も少なくありません。喪中は年賀状を出さない慣習があるように、お正月とお悔やみとは相入れないものだと考えることは不思議ではありません。実際、地域や宗派によってお正月のお墓参りをタブーとする場合があることは、理解しておいた方がよいでしょう。
一方で、本来お墓参りは先祖の冥福を祈り感謝や報告をするための仏事であることを考えると、お正月のお墓参りはまさに最適なタイミングであるといえます。宗教や親戚の心情的に問題がない限り、晴れやかな気持ちで1年をスタートするためにも、お正月のお墓参りをおすすめします。
正月のお墓参りで注意すべきポイント
お正月のお墓参りは問題ありませんが、タブーとされていることもあります。気持ちよくお墓参りをするために、ここではお正月のお墓参りで起こりがちな注意ポイントを紹介します。
初詣とお墓参りは違う日にする
初詣とお墓参りを同じ日に済ませたいという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、神道の考え方では、神社への初詣とお墓参りを同じ日に行くのはタブーとされています。神道の神様は死や血のけがれを嫌うためお墓と神社は相性が悪く、先祖や仏様に対しても失礼だと考える方も少なくありません。また、お墓参りと初詣を同じ日に行くと、死の気配を神社へ持ちこむという考え方もあります。そのため、お墓参りは初詣とは違う日に行く方がよいでしょう。
ついで参りに注意する
「ついで参り」とは、初詣や買い物などのついでにお墓参りに行くことです。もっとも優先されるべき先祖や仏様へのお参りを、ほかの予定のついでに済ませるのはよくないという考えから、ついで参りは失礼なこととされています。そのため、お墓参りに行く日はほかの予定を入れないように注意しましょう。
ただし、ついで参りは人によって良し悪しが分かれることもあります。気持ちがこもっていれば問題ない、むしろせっかくの機会にお墓参りに行かないのは残念と考える方もいます。お墓参りの日にほかの予定が入りそうな場合は、家族や親戚の考え方を尊重して判断するとよいでしょう。
霊園の開園時間を事前にチェックする
霊園や墓地は年末年始も空いている場合が多いですが、開園時間が普段と異なることもあります。お正月にお墓参りに行く際は、あらかじめ霊園や墓地の開園時間をチェックしておきましょう。三が日の間はバスのダイヤが違うこともあるため、公共交通機関で行く場合は注意してください。
年末年始の時期は日が短く、地域によっては16時台に日没します。暗くなると足元が見えづらく、つまづいて転んでしまう危険性も。寒さも厳しくなるため、日が高い時間帯、できれば午前中にお墓参りに行くことをおすすめします。
正月のお墓参りのマナー
お正月のお墓参りだからといって厳格なルールはありませんが、気持ちよくお墓参りをするために押さえておきたいマナーもあります。ここでは、知っておくべきお正月のお墓参りのマナーを3つご紹介します。
午前中のお墓参りがベスト
原則、お墓参りはいつ行っても構いませんが、午前中に行くのが好ましいとされます。先祖への挨拶は最優先事項であるため、遅い時間に行くと「ほかの用事の後回しにした=失礼」とされるためです。できる限り、お正月のお墓参りは午前中に行くようにしましょう。
ただし、遠方から行く場合やどうしても都合がつかない場合は、その限りではありません。「ほかの用事の後回しにしない」「なるべくお墓参りを優先する」ことを念頭に置き、無理のないスケジュールを立てましょう。
大晦日を避ける
お墓をきれいに掃除して気持ちよく新年を迎えるために、年末にお墓参りに行きたいという方もいらっしゃいます。お墓参りはいつ行っても問題ありませんが、寺院や霊園が忙しい大晦日はできるだけ避けた方がよいでしょう。年末にお墓参り行くなら30日まで、もしくは年が明けてからがおすすめです。
大晦日以外にも、年末29日のお墓参りは縁起が悪いとする考え方もあります。29日のお墓参りについても、家族や親族の考え方を確認しておく方がよいでしょう
仏教と神道の違いに留意
仏教と神道では「死」に対する考え方が異なります。仏教にとって、死は輪廻転生や極楽浄土への旅立ちとされ、恐れたり避けたりする対象ではありません。一方、神道は死を「けがれ」として忌み嫌います。神社に墓地が併設されていないのはそのためです。
このような違いから、喪中は神社への参拝は控えるべきとされ、お墓参りと同じ日に神社に行くべきでないと考える方もいます。お墓参りに行く際は、宗教による「死」に対する考え方の違いに留意しましょう。
正月のお墓参りの持ち物
お正月のお墓参りの持ち物は、普段のお墓参りと変わりありません。何を持っていくか分からない方は、以下のものを用意するとよいでしょう。
お供えの花
一般的には生花が好まれますが、造花でも問題ありません。花の種類に決まりはありませんが、菊やユリ、カーネーションなどが一般的で、さらにお正月は華やかで目立つ花も人気です。ただし、とげがある花や香りがきつい花は避けた方がよいとされるので注意が必要です。
あまり大きな花束は花立てに入らないため、多くても10本程度にとどめておきましょう。お花のほかに、水や花鋏などを持参するとスムーズです。
お供物
お花のほかに、ろうそくや線香・水・故人が好きだった食べ物や飲み物などのお供え物を用意しましょう。お供え物をして手を合わせた後は、散らかったり動物に食い荒らされたりしないよう、備えたものを持ち帰ります。冬場は乾燥して火事の危険性が高まるため、特にろうそくや線香の火の始末に十分注意してください。
掃除道具
お墓参りのときは、墓石や周辺の掃除をしてきれいな状態にしてお参りするのが基本です。スポンジや雑巾、ほうき、ゴミ袋などの掃除道具を持参しましょう。掃除をする際、墓石を傷つけるような堅いタワシの使用は避けてください。なお、掃除道具を霊園で借りられる場合もあるので、事前に確認するとよいでしょう。
正月のお墓参りで、ご先祖さまに新年の挨拶をしましょう
お正月のお墓参りは、先祖に新年の挨拶と感謝の気持ちを伝えられるよい機会です。注意しておきたいのは、「ついで参り」と「初詣と同じ日に行くこと」を、タブーと考える方が多い点。宗教や地域によって、また個人によっても方針が異なるため、一緒にお墓参りに行く方の考え方を確認しておくとよいでしょう。お正月のお墓参りの注意ポイント・マナーを押さえて、ご先祖さまに気持ちよく新年の挨拶をしましょう。