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2023.06.27

供養

お墓

お盆のお墓参りの意味とは?お墓参りできない時の3つの対処法

お盆のお墓参りの意味とは?お墓参りできない時の3つの対処法

お盆といえば、帰省やお墓参りを予定している方も多い時期です。しかし中には、「混雑するお盆を避けてお墓参りしたい」「お盆にお墓参りしないのはおかしい?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。今回は、お盆にお墓参りをする意味や由来について解説。お墓参りしない場合のデメリットや、お墓参りできない時の対処法をご紹介します。



1.お盆のお墓参りは、仏教と神道が融合して生まれた文化

お盆には先祖の霊があの世から帰ってくるとされています。お墓参りに行ったり仏壇にお供物をしたり、お盆は先祖を供養する行事として広く日本人に親しまれています。そもそも、お盆に先祖を供養する文化はどのようにして生まれたのでしょうか?ここでは、お盆の由来と意味について解説します。

(1)お盆は仏教の言葉「盂蘭盆」が由来

(1)お盆は仏教の言葉「盂蘭盆」が由来

お盆という呼び方は、古代仏教の言葉「盂蘭盆(うらぼん)」を省略したものです。盂蘭盆の由来には諸説ありますが、近年「ご飯をのせた盆」の意味であるという新説が注目されています。盂蘭盆の由来となった仏教経典『盂蘭盆経』では、現世や過去の父母を救済するために、僧侶たちに施しをするよう説いています。その際に用いる飲食物を載せたお盆が「盂蘭盆」だというのです。
僧侶に施しをするのは、雨安居(うあんご)の最終日とされています。雨安居とは、雨期に僧侶が洞窟や寺院に篭って修行に専念する行事のこと。雨安居の最終日は、旧暦7月15日もしくは8月15日にあたります。つまり、現世や過去の父母を救済するために7月15日に僧侶に施しをした行事が、現在のお盆のベースにあると考えられるのです。

(2)「盂蘭盆」が神道と結びつき、今の「お盆」となった

(2)「盂蘭盆」が神道と結びつき、今の「お盆」となった

日本で初めて盂蘭盆会(行事)が行われたのは、仏教が伝来した推古天皇の時代とされています。その頃、盂蘭盆会は寺院や宮中で行われる行事で、庶民とは縁遠いものでした。その後、盂蘭盆会は貴族や武家へと広まり、江戸時代になって庶民の間で盛んに行われるようになったのです。
古来、日本では神道の「祖霊崇拝」の考えが根付いていました。もともと行われていた先祖を敬い感謝する祖霊崇拝と、江戸時代に広まった盂蘭盆会が融合し、今の「お盆」に近い形になったのです。「先祖の霊が帰ってくる」という考え方や「迎え火・送り火」の風習は、神道から由来したとされています。
では、「お盆」は神道より仏教行事のイメージが強いのはなぜでしょうか。理由は、江戸時代、檀家制度を推し進める幕府により、祖先の供養を仏式で行うよう強制されたためと考えられています。

(3)明治時代の改暦によりお盆の時期が変化した

(3)明治時代の改暦によりお盆の時期が変化した

明治時代まで、お盆は旧暦の7月15日に行われていました。明治に太陰暦から太陽暦へ改暦されたことにより、8月15日にお盆が行われるようになったのです。
現在でも、東京をはじめとする一部地域では、7月にお盆を執り行っています。7月のお盆は新暦に従って時期を変えていることから「新盆」、8月のお盆は旧暦に従っていることから「旧盆」と呼ばれます。
神道と仏教の融合、幕府の政策、改暦といった時代のうねりの中で、今のお盆が形作られていったのです。



2. お墓参りしないとどうなる?主なデメリット

お盆にお墓参りをするのは、先祖供養のほか、あの世から帰ってくる先祖の霊をお墓まで迎えに行くという意味があります。実際には、お盆にお墓参りをしないと先祖の霊が浮かばれない、ということはありません。しかし、お墓参りをしないデメリットもありますので知っておきましょう。

(1)お墓をきれいに保てない

(1)お墓をきれいに保てない

屋外にあるお墓は、雨や風にさらされてすぐに汚れてしまいます。特に、梅雨を経て汚れが蓄積したお盆の時期に掃除ができないと、水垢や黒ずみ、カビや苔が生えてしまい、自分では落とせない頑固な汚れになることがあるのです。
汚れが蓄積する前であれば、水掃除でも十分落とすことができます。お盆のお墓参りが難しければ、時期をずらしても問題ありません。年に3〜4回はお墓参りに行って掃除し、汚れを蓄積しないようにしましょう。

(2)お墓の不具合に気づけない

(2)お墓の不具合に気づけない

墓石は雨や風により経年劣化していきますが、100年以上の耐用年数があるため、基本的には買い換えるようなものではありません。しかし、地震や台風などの災害、獣害、人為的な事故などにより破損してしまうケースがあります。
小さなヒビ程度の破損であれば、自分で補修することも可能です。しかし、ヒビ割れを放置しておくと、隙間に雨水が入って墓石全体が割れてしまうことがあります。また、墓石が倒壊して、ほかのお墓や墓参者に迷惑をかけてしまう可能性も。お墓参りは、供養や掃除だけでなく、墓石の不具合を確認する機会でもあるのです

(3)先祖に感謝し心を取り戻す機会がない

(3)先祖に感謝し心を取り戻す機会がない

世界的に有名な経営者たちが取り入れたことにより、日本でも改めて注目されている「瞑想」。もともと日本人は、神社仏閣やお墓・仏壇だけでなく、太陽や山にも手を合わせて祈りを捧げる民族。瞑想は、見えないものへの畏怖や感謝を表すとともに、わが身を省みて心を取り戻す時間でもあったのです。
近年、仏壇離れが進み、手を合わせて祈ることが少なくなってきました。お盆を逃すと、あとどれくらい故人を偲び、先祖に感謝する機会があるでしょうか。忙しい日常生活でつい失われてしまう、今、自分があることへの感謝。お墓参りは、私たち現代人が感謝の気持ちを取り戻す機会でもあるのです。



3. お盆にお墓参りできない時の3つの対処法

お墓参りの大切さはわかっていても、物理的にどうしても行けないことがありますよね。ここでは、お墓参りに行けない時のおすすめの対処法をご紹介します。お墓参りに行けないことを気に病まずに、対処法をうまく取り入れて、心穏やかにお盆を過ごしてくださいね。

(1)時期をずらして行く

(1)時期をずらして行く

お盆が難しければ、時期をずらしてお墓参りに行きましょう。お墓参りはいつ行っても問題ありません。よく、「仏滅や友引にお墓参りに行くのは好ましくない」といわれます。仏滅・友引は、仏教や神道とは関係のない「六曜」の考え方です。仏滅・友引は縁起が悪いとされるのは、六曜の本来の意味が転じたことによる俗信ですので、気にする必要はありません。
また、「夕方のお墓参りは避けた方がよい」とされるのは、夕方の逢魔時(おうまがとき)に魑魅魍魎が動き出すという伝承が由来です。本来の主旨は、足元が見えにくく危険な夕方のお墓参りを戒めるためとされています。安全にお墓参りができるのであれば時間帯は気にしなくても問題ありません。

(2)代行サービスを利用する

(2)代行サービスを利用する

お墓参りの代行サービスを利用する方法もあります。サービス内容は企業によって異なりますが、合掌礼拝・お供物やお花の交換・お墓の掃除をし、写真を撮って作業報告をするのが一般的。1回のお参りで1万円〜1万5千円程度が相場です。
最近は、「ジモティ」や「くらしのマーケット」などのマッチングサイトで、個人にお墓参りの代行を依頼することもできます。ぜひ自分に合ったサービスを探してみましょう。

(3)自宅で手をあわせる

(3)自宅で手をあわせる

もっとも大切なのは、行動ではなく心の持ちようです。時期をずらしてお墓参りに行く場合や、代行サービスを利用する場合であっても、ぜひお盆には自宅で手を合わせる時間を設けてください。家族と一緒に、故人の思い出を語り合うのもおすすめです。その時間が、次の1年を前向きに過ごすきっかけになることでしょう。



4. 次世代に伝えたい大切な心。お盆はお墓参りに行きましょう

(3)自宅で手をあわせる

仏教と神道の融合から生まれた「お盆」は、長い年月をかけて日本の生活に溶け込んできました。そして、先祖供養のお墓参りと結びつき、お盆にお墓参りをする文化が根付いたのです。お墓離れ・仏壇離れが進む昨今。故人や先祖に感謝する日本のすばらしい文化を、子どもや孫の代に受け継いでいきたいですね。今年のお盆も、ぜひお墓参りに行きましょう。