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【簡単解説】檀家制度とは|成立背景やメリット・デメリットなどを解説
目次
1. 檀家制度とは
檀家制度とは、家単位で特定の寺院に属して葬儀や供養などの仏事を任せる代わりに、お布施や寄付によってその寺院の経済的支援をする制度です。檀家になるとその寺院(菩提寺)にお墓を置くことになり、突然の身内の不幸が起こった際や法要時の執り行いをすべて任せることができます。
昨今では、核家族化や都市部への人口流入など家族形態が多様化しているため「寺離れ」や「宗教離れ」が深刻化しています。そのため、檀家制度を廃止する寺院もありますが、通常は檀家を募集しています。
檀家制度がある背景と成り立ちについて
檀家制度の始まりは江戸時代、幕府がキリスト教を排除する目的で制定した「寺請制度(てらうけせいど)」が由来と言われています。当時はキリスト教徒ではない証明として檀家となり、世代をまたいで代々その寺院を支援することが義務づけられていました。
明治時代に入って寺請制度は廃止され檀家制度も徐々に本来の意義を失っていきましたが、現代でも家や祖先崇拝を目的としてその風習が残っている地域もあります。
2. 檀家制度のメリット
昨今では人口減少や核家族化などの社会的背景から檀家制度は衰退傾向にありますが、檀家になることには良い面もあります。ここでは、檀家制度のメリットについて詳しく説明します。
手厚い供養を受けられる
檀家制度最大のメリットは、自分たちの先祖を供養してくれる専門家がいるということです。葬式や墓の建立、法要まで仏事のすべてをその寺院に任せることができるため、大切な家族の死後も安心して過ごせます。
家族形態が多様化している昨今では、地理的な問題や仕事の関係で頻繁にお墓参りに行けない方も少なくありません。そんなときでも、檀家であれば仏事に関するさまざまな執り行いを寺院に任せられます。
突然の身内の不幸でも葬儀屋を探す必要がない
通常、身内に不幸が起こった場合、自分たちで葬儀屋を探したりお墓を用意したりしなければなりません。特に遠方に住んでいる方はあまり時間をとれず大変な思いをすることもあるでしょう。
しかし檀家制度では、葬儀に関する一切を任せられるので新たに葬儀屋やお墓を探す必要がありません。大切な家族の葬儀を全く知らないお坊さんに任せることに抵抗のある方も多いので、これは大きなメリットと言えるでしょう。
仏事に関する相談ができる
檀家になると、先祖の供養や葬儀のマナーなど仏事に関するあらゆる相談に乗ってもらえます。特に突然の身内の不幸で葬儀を行う場合は、故人を想う時間がないほどさまざまな準備に追われがちです。また、仏事には一般人には分からないマナーやしきたりも多くあります。そんなとき、何でも相談できる相手がいると精神的な支えになるでしょう。
3. 檀家制度のデメリット
檀家制度と聞くと「何かと大変」「お金がかかる」などネガティブなイメージを持つ人もいるでしょう。では、檀家になると具体的にどんなデメリットがあるのでしょうか?
お布施や寄付などの費用がかかる
檀家制度の大きなデメリットは、お布施や寄付などでどうしてもお金がかかってしまう点が挙げられます。葬儀や法要時のお布施はもちろん、寺院の修繕費や運営費などの寄付も必要です。大がかりな工事を行う際は数万円から数十万円の寄付を募られることもあります。
本来お布施や寄付は自分の気持ちを包むものです。しかし、現実問題として先祖代々の関係性を続けるためには地域住民と金額を揃えある程度のお金を渡さなければならないことが多いです。寺院に対して経済的支援をすることは檀家の役目であるため、これはどうしても避けられないデメリットと言えるでしょう。
寺院の行事に参加する必要がある
寺院の清掃や団体参拝、境内での盆踊りなどの行事に参加することも檀家の役目とされています。檀家総代や檀家役員といった役職につくと務めはさらに多くなるでしょう。
行事への参加は寺院や地域コミュニティとの関係性を築くものと考えれば悪いものではありません。しかし実際は、仕事などで忙しく檀家の役目を果たせないという方も多くいます。そういった方にとっては寺院の行事参加が負担になるでしょう。
他の寺院への葬儀依頼ができない
檀家制度では、葬儀や法要などの仏事はその寺院にお願いするというのが暗黙の了解です。そのため、断わりなく他の寺院に葬儀や法要の依頼をすることはできません。
さまざまな相談をできる一方で、希望通りの仏事が行えないという制約がデメリットになることもあります。
離壇する際に離檀料がかかる
離壇とは檀家をやめること。檀家制度では離壇する際にも離檀料といって寺院への感謝の気持ちを贈るのが一般的です。金額の相場は最低で1~3万円程度、最高で20万円程度とされています。
法律上の義務はありませんが、昨今では檀家減少に悩む寺院も多いため、寺院側から離壇料を請求するケースもあります。また、高額な離壇料を請求されるなどのトラブルで裁判になることもあります。
4. 檀家制度を利用する際の費用相場
檀家制度を利用すると費用がかかると説明しましたが、実際どれくらい必要なのか気になる人も多いでしょう。地域の風習や寺院によって異なります。入壇するときの手続きとして檀家契約書、墓地契約書をとりかわし、入檀料を支払います。入檀料の相場は、10万〜30万円程度となります。このほか、葬儀や回忌法要、寺院行事などの費用も都度発生します継続的に支援していく必要があるため、契約時にしっかり確認しておきましょう。
5. 檀家制度をやめることはできる?
檀家をやめることを離檀と言い、寺院に申し出て必要な手続きをすることで離壇できます。昨今では遠方に住んでいる、仕事が忙しくて満足に墓参りができないといった理由で離檀する方も増えているため、決して珍しいことではありません。
離壇するに離壇料や墓石の撤去費用、移転費用などが必要です。また、寺院の定めたルールに沿って手続きをしなければなりません。離檀自体は悪いことではないのですが、離檀料や寺院とのコミュニケーション不足でトラブルに発展するケースもあるため、入檀時の契約書を確認し早めに相談することをおすすめします。
6. メリット・デメリットを踏まえて檀家制度を検討しよう
この記事では、檀家制度のメリットやデメリットについて紹介しました。檀家制度には手厚い供養が受けられる、仏事に関する相談ができるといったメリットがありますが、現代社会に沿っていない部分も多くあります。費用や付き合い方は地域や寺院によって異なるため、檀家に関する相談はそれぞれの菩提寺に相談しましょう。メリット・デメリットを知った上で自分たちに何がベストかを検討してくださいね。