未来のお墓研究所
投稿日:2021.12.22
更新日:2024.09.11
供養
年忌法要 とは?
いつまでやればいいか、必要な準備などを解説
目次
年忌法要とは
法要は、故人の冥福を祈って行われる仏教の儀式です。法要と似た言葉に「法事」がありますが、「法事」は読経から焼香・お墓参り・会食までの一連の行事全体を指します。一方「法要」とは、僧侶を招いて読経をしてもらう供養の儀式自体を指します。
年忌法要は、「一周忌」「三回忌」「七回忌」など決められた年の命日に行います。忌日法要は、「初七日(しょなのか・しょなぬか)」「四十九日」など亡くなった日から7日ごと、49日目まで行います。
主な忌日法要・年忌法要
忌日法要・年忌法要にはさまざまな種類がありますが、現代では特に重要な法要のみ執り行うことも少なくありません。忌日法要・年忌法要それぞれで重視される法要の種類を見ていきましょう。
<重視される忌日法要>
法要の種類 | 概要 |
---|---|
初七日 | 亡くなってから7日目に行う忌日法要。 |
四十九日 | 故人が亡くなってから49日目に行う忌日法要。四十九日までが「忌中」、納骨後に「忌明け」となる。 |
百カ日 | 亡くなってから100日目に行う忌日法要。この日までに香典返しや遺品の整理・形見分けを行う。 |
新盆(初盆) | 四十九日法要が終わって初めて迎えるお盆で、手厚く法要を執り行う。 |
仏教では、故人が亡くなってから49日間を「中陰」と言い、この世とあの世をさまよう期間とされています。亡くなった日から7日ごとに7回の忌日法要があり、故人をあの世に旅立たせる意味があります。1年目の法要で特に重要とされているのが「初七日」と「四十九日法要」です。
<重視される年忌法要>
法要の種類 | 概要 |
---|---|
一周忌 | 亡くなってから1年目の祥月命日に行われる法要。 |
三回忌 | 亡くなってから2年目の祥月命日に行う法要。 |
三十三回忌 | 亡くなってから32年目の祥月命日に行う法要。「弔い上げ」とも呼ばれ、以降の年忌法要は行わないのが一般的。 |
「一周忌」「三回忌」「三十三回忌」の年忌法要のみ行い、そのほかの法要を省略することも少なくありません。また、1年に2つ以上の法要が重なる場合は、ひとまとめに執り行うこともあります。
年忌法要はいつまで必要か
仏教では、三十三回忌まで年忌法要を行うのが一般的です。最後の法要を「弔い上げ」と言い、これをもって故人が先祖の仲間入りをすると考えられています。しかし、年忌法要の回数は地域や宗派、家庭の考え方によって異なることもあります。
近年は、法要の回数を減らし小規模化する家庭も多く、特に七回忌以降は省略する傾向があります。また、施主となる方が高齢で早めに弔い上げを行うケースもあります。三十三回忌まで年忌法要を執り行えるか心配な場合は、家族や寺院に相談すると良いでしょう。
宗派別の法要の回数
宗派によって法要回数に多少の違いがあります。厳密なものではありませんので、一般的な考え方として参考にしてください。
宗派 | 法要回数の特徴 |
---|---|
真言宗 | 一周忌から十七回忌まで行ったあと、二十三回忌と二十七回忌を省略する代わりに二十五回忌を行う。 弔い上げは三十三回忌で、その後五十回忌や百回忌、百五十回忌などの遠忌(おんき)を行うこともある。 |
曹洞宗 | 真言宗と同様、一周忌から十七回忌、二十五回忌、三十三回忌を行う。 弔い上げ後、五十回忌や百回忌を行うことがある。ただし、二十五回忌を行わず二十三回忌と二十七回忌を行う地域も。 |
日蓮宗・臨済宗 | 曹洞宗と同様、一周忌から十七回忌までを行い、二十五回忌(または二十三回忌と二十七回忌)を行う。 三十三回忌で弔い上げとなるが、日蓮宗では法要を取り仕切る方が亡くなるまで年忌法要を行う場合も。 |
※遠忌とは、五十回忌、百回忌など没後に長い期間を経て行われる年忌のこと
神道・キリスト教の年忌法要について
日本では仏式の葬儀が一般的なため、追悼の儀式としては法要・法事をイメージする方も多いでしょう。では、他の宗教の場合はどうでしょうか。ここでは、神道とキリスト教における追悼行事を紹介します。
神道
故人を極楽浄土に送り出す仏教に対し、神道では「故人はその家の守護神となる」と考えられています。法要・法事と呼ばれる行事はありませんが、相当するものが「霊祭(れいさい)」または「式年祭(しきねんさい)」と呼ばれる行事です。霊祭は故人が亡くなって100日目までに行い、式年祭は1年目の命日以降に行います。つまり、仏教でいう年忌法要は、神道では式年祭にあたります。
これらの追悼行事は、家や墓前・納骨堂の礼拝所などに神職を招いて行われます。身内や友人が集まって、「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」や「拝礼」「手水(ちょうず)」など独特の作法を行います。
キリスト教
キリスト教には「供養」の概念がなく、亡くなると神のもとである天に召されると考えられています。そのため、仏教のような法要・法事という供養儀式はありません。その代わり、「追悼ミサ(カトリック)」や「記念式(プロテスタント)」といった追悼行事が行われます。
これらは、故人が亡くなってから1週間や1ヶ月といった節目に行われ、教会に親族や友人が集まり、牧師や神父と祈りを捧げたり茶話会が催されたりします。
キリスト教は、「死後は天に召される=喜ばしいこと」という考え方が基本です。そのため、仏教的な「お悔やみ申し上げます」といった言葉はマナー違反であり、故人の思い出話をするのが好ましいとされています。
年忌法要の際にやっておくべき事前準備
ここでは年忌法要を行うまでの準備をご紹介します。年忌法要は2〜3カ月前から準備するのが一般的ですが、参加者の予定にもかかわるため、できるだけ早めに取り掛かりましょう。
法要の日時を決める
寺院や親族と相談し、法要を行う日時・場所を決めます。祥月命日が平日の場合、参列者が集まりやすい休日に設定しても構いません。仏教では命日後の法要は縁起が悪いとされているため、直前の土日を選ぶと良いでしょう。
参列者を決める
次に、年忌法要に招く参列者を決めます。一周忌や三回忌までは親しかった友人も招くことが多いですが、七回忌以降は親族だけで行う傾向にあります。招待するかどうか迷う場合は、トラブルを避けるために招待するのがおすすめです。
法要の会場を決める
法要の会場には斎場・自宅・菩提寺・墓地・霊園などの選択肢があります。七回忌までは斎場や菩提寺、それ以降は自宅で行うのが一般的です。地域の風習や菩提寺との関係によって異なるため、身内とよく相談して決めましょう。法要後に会食を行う場合は、会食会場も合わせて押さえておきましょう。
その他当日に向けた準備
法要の日時や参列者・会場を決めたら、当日に向けて以下の準備を進めましょう。
◯案内状の準備
◯送迎バスの手配
◯返礼品の手配
◯供花や供物の準備
◯会食の準備
◯お布施・お車代・御膳料の準備
準備の内容が分からない場合、身内に相談するか、葬儀会社に相談するとまとめて手配してもらえることもあります。
年忌法要をしないとどうなる?
近年は、法要の小規模化や省略が増えているとはいえ、供養に対する考え方には個人差があります。周囲に相談せずに法要を取りやめてしまうと、親族や菩提寺との関係性に悪影響を及ぼす可能性も。年忌法要を省略したい場合は、事前に親族や菩提寺と相談することをおすすめします。
年忌法要で故人を偲び、心の区切りをつける機会にしましょう
故人の冥福を祈って行われる年忌法要ですが、遺族が故人を亡くした悲しみから抜け出し、少しずつ日常を取り戻していくステップともいえます。近年は家族だけで済ませることも増えていますが、親族や知人を招いて故人を偲び、遺族が心の区切りをつけるいい機会にもなります。周囲に協力してもらいながら、余裕を持って準備を進めましょう。