未来のお墓研究所
樹木葬に適した木、人気の木の種類を紹介。注目のガーデニング墓地も解説
目次
樹木葬とは
ここ数年、需要が高まっている「樹木葬」は、自然に還る埋葬方法として人気を集めていますが、実は古くからある埋葬方法です。自然に還る埋葬法といえば散骨がよく知られていますが、散骨では墓標がないのに対し、樹木葬では樹木や草花を墓標として用います。
多くの樹木葬は跡継ぎを必要としない永代供養が多く、ほとんどの場合で一般のお墓よりも安価です。宗教不問である場合も多く、これらのことが樹木葬人気の理由となっているようです。
また、最近では樹木の周りにガーデニング庭園風の植栽を配置したり、骨壷に工夫を凝らしたりといった広がりを見せており、大切なペットと一緒に入れる樹木葬も増えてきています。
樹木葬のシンボルツリーとして選ばれる理由
樹木葬のシンボルツリーとしてよく選ばれる木の種類があります。ここでは、一般的にどのような観点でシンボルツリーが選ばれているのかを解説します。
故人が好きだった木
シンプルに、「自分の好きな木を墓標にしたい」「亡くなった方が生前好きだった木だから」という理由で選ばれることがあります。特定の木をシンボルツリーにしたい場合は、事前に霊園に確認しておきましょう。
多くの方に馴染みの深い木
「多くの方に馴染みのある木」という理由で、シンボルツリーに選ばれることもあります。
たとえば、老若男女問わず親しみのある桜の木などが代表例です。故人は慣れ親しんだ木のそばで眠ることができ、お参りに来る人にとっても親しみのある木は安らぎを与えてくれます。
年間を通して緑が美しい常緑樹
常緑樹は、年間を通して緑が美しいという理由で選ばれます。季節に左右されず、年中美しい緑を維持する常緑樹は、明るい雰囲気や気持ちのよい空間を作ってくれるからです。
季節の変化を楽しめる落葉樹
年間を通して緑が美しい常緑樹が選ばれる一方で、季節の変化を楽しめる落葉樹も選ばれています。気温が下がると葉っぱが落ちてしまう落葉樹ですが、春になったらまた芽吹き、夏にかけて美しい緑をたたえます。これが輪廻転生を連想させるという考えもあり、シンボルツリーとして選ばれています。
樹木葬でよく使われる木の種類11選
ここからは、樹木葬で使われる木の種類を具体的に紹介していきます。
桜
種類 | 花言葉 |
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落葉樹 | 「精神美」「高潔」「心の美しさ」など |
一番人気は、やはり桜の木。日本文化に馴染みが深く、男女を問わず人気のある木です。
桜には多くの種類があり、花の色も白から薄いピンク、濃い赤などさまざま。
桜を用いた樹木葬は「桜葬」とも呼ばれており、桜の花が咲く頃に合同祭祀を開く施設もあります。桜の花が満開の中お墓参りができるという理由からも、シンボルツリーとしてよく選ばれています。
オリーブ
種類 | 花言葉 |
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常緑樹 | 「平和」「知恵」など |
一年を通して美しい葉を鑑賞できるオリーブも、近年人気のシンボルツリーです。葉の表がスモーキーな色をしており、葉の裏はシルバーのような色味。葉の両面のコントラストが美しく、おしゃれで明るい雰囲気になります。4月から6月頃には白色や黄白色の小さな花をたくさん咲かせ、花といっしょに甘い香りも楽しめます。
ハナミズキ
種類 | 花言葉 |
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落葉樹 | 「返礼」「永続性」「想いを受け取ってください」など |
街路樹や庭木としてよく使われるハナミズキは、樹木葬のシンボルツリーとしても人気です。
4月終わりごろから5月に、白やピンク、薄紅色の花を咲かせます。遠くからでも分かるほどの大きな花を咲かせるだけでなく、秋には紅葉を楽しめ、美しい樹形を維持できるのも人気の理由です。
ヤマツツジ
種類 | 花言葉 |
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半常緑 | 「努力」「燃える思い」「訓練」など |
ヤマツツジは、樹木葬がおこなわれ始めた頃からシンボルツリーとして使われており、4月から5月頃、枝先に2~3輪ずつ花を咲かせます。花の色はオレンジっぽい紅色や白、紅などバリエーションが豊富。ツツジの仲間ではもっとも背丈が高くなり、暖地では常緑性、寒地では落葉性の半常緑です。
クスノキ
種類 | 花言葉 |
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常緑樹 | 「芳香」 |
街路樹や神社、公園などにもよく植えられているクスノキは、20mを超える巨木となることも多い木です。神社では「御神木」として信仰の対象となることもあります。花は咲かせませんが、緑が生い茂る姿は力強さを感じられ、シンボルツリーとしても人気です。
カラマツ
種類 | 花言葉 |
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落葉樹 | 「大胆」「豪放」「勇敢」など |
日本の針葉樹で唯一の落葉樹であるカラマツは、盆栽などで人気のある木です。夏の新緑が美しいだけでなく、秋には葉を黄金色に染め見応えがあります。落葉した樹姿(じゅし)も美しいことから、シンボルツリーとして選ばれています。
サルスベリ
種類 | 花言葉 |
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落葉樹 | 「雄弁」「あなたを信じる」など |
サルスベリは春ではなく真夏の暑さの中で花を咲かせます。白や桃色、紫など、色鮮やかな花を秋まで楽しむことができ、華やかな雰囲気がシンボルツリーとして好まれています。
洋風の雰囲気を作ることができ、存在感のある木です。
モミジ
種類 | 花言葉 |
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落葉樹 | 「大切な思い出」「美しい変化」 |
春と夏のさわやかな緑の葉から、秋の紅葉ですっかり印象を変えるもみじ。季節によって魅力的に変身するモミジは、お参りを楽しめる木として人気です。なかには、モミジをシンボルツリーとする「モミジ樹木葬」もあります。
ウメモドキ
種類 | 花言葉 |
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落葉樹 | 「知恵」「深い愛情」「明朗」 |
ウメモドキは5月から6月頃に、薄紫色のとても小さな花を咲かせます。9月頃からは赤い果実を実らせ、葉の緑とのコントラストを楽しめる木です。秋を過ぎると落葉していき、冬は赤い果実のみが枝に残り、四季折々の変化を楽しめます。果実を好んで野鳥が訪れるため、鳥が好きな人にもおすすめです。
ポプラ
種類 | 花言葉 |
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落葉樹 | 「勇気」「哀歌」 |
街路樹としてもよく利用されるポプラは、成長が早く人気です。上に向かってまっすぐ大きくなる姿が特徴で、春には小さな花も咲かせます。
エゾアジサイ
種類 | 花言葉 |
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落葉樹 | 青系は「辛抱強い愛」、白は「寛容」 |
エゾアジサイは、桜のように昔から馴染み深い樹木として人気です。梅雨時期には青系や白の花がきれいに咲き、高さは1~1.5mほど。花を咲かせる低木を希望される方に選ばれています。
花に囲まれて眠る「ガーデニング墓地」とは
樹木葬の需要が高まる中、花に囲まれて眠る「ガーデニング墓地」の需要も高まっています。
樹木葬とガーデニング墓地は混同されやすいため、違いを確認しておきましょう。
樹木葬は樹木を墓標とし、周囲に埋葬するような形です。シンボルツリーを中心に初めから合祀とする場合や、シンボルツリーの周りに複数の区画を設け個別に埋葬する場合、個別区画ごとにシンボルツリーを植えて埋葬する場合があります。いずれにしても、最終的には合祀となることほとんどです。
一方ガーデニング墓地は、一般のお墓のように墓石を置き、個人もしくは家族単位となる点が樹木葬と大きく異なります。遺骨は納骨室に納め、周辺を美しい花や低い植栽で飾ります。
お墓の周りは囲まれていることが多く、区画がはっきりとしているのも特徴です。
このように樹木葬とガーデニング墓地にはそれぞれの特徴がありますが、どちらも正式な定義はないため、上記は一般的な違いとなります。
また、基礎部分を腰よりも少し低い位置にし、周囲に花壇を作る「テラス墓地」や、お墓の外柵周りを植栽やプランターで飾る「花壇墓地」も近年人気が出ており、墓地の形態も広がりを見せています。
樹木葬でよく用いられる花
花に囲まれて眠るガーデニング墓地にも惹かれるという方もいるのではないでしょうか。花を用いるのはガーデニング墓地だけではありません。樹木葬でも、花を用いる霊園があります。
例えばバラやサルビア、ジニアなどがよく用いられます。バラは華やかで目を引く美しさがあり、訪れる人の心を癒やしてくれるでしょう。ハーブや観賞用として幅広く愛されるサルビアは、暑さに強く開花期間が長いことから、樹木葬でもよく用いられます。百日草とも呼ばれるジニアも開花期間が長く、初夏から晩秋まで次々と咲き続けます。
花の種類 | 見頃 | 花言葉 |
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バラ | 5月上旬~5月下旬頃 10月中旬~11月上旬頃 |
赤「告白」、ピンク「感銘」、黄色「愛」など |
サルビア | 8月上旬~10月下旬頃 | 「家族愛」「尊敬」「知恵」 |
ジニア | 5月~11月頃 | 「不在の友を思う」「遠い友を思う」など |
樹木葬に適さない花木とは
樹木葬でよく使われる花木がある一方で、おすすめできない花木もあります。樹木葬はスペースが限られているため、根が広く張って大きく成長する木は適しません。花では、「呪い」「復讐」の花言葉をもつ黒百合や、彼岸花、睡蓮などが適さないとされます。
現地見学をして納得のいく樹木葬を
樹木葬のシンボルツリーでどの木が使われているかは霊園により異なります。最近は花に囲まれて眠る樹木葬も人気があり、大切なペットと一緒に入れる樹木葬も増えています。木や花にこだわりたい方は、現地見学や複数社を比較検討して、納得のいく樹木葬を選びましょう。