未来のお墓研究所
【納骨堂とは】納骨堂の種類や永代供養との違い、メリット・デメリットを解説
目次
納骨堂とは?基本的な意味と永代供養との違い
お墓の形が多様化する中で、都市部を中心に注目を集める「納骨堂」。ここでは、納骨堂の基本的な定義や特徴、そして「永代供養」との違いについて解説します。
納骨堂の定義と特徴
納骨堂は、個人や家族の遺骨を納めるための施設です。一般墓や樹木葬と並ぶお墓の一種で、都市部を中心に利用が広がっています。
もともと納骨堂は、遺骨をお墓に埋葬するまでの間、一時的に骨壺を預ける「預骨」のための施設でした。しかし近年では、「お墓の代わりとして長く利用したい」というニーズが高まり、恒久的なお墓としての役割が認知されるようになっています。
イメージとしては、一般墓が「一戸建て」のお墓なら、納骨堂は「マンション型」のお墓と考えるとわかりやすいでしょう。限られた敷地を効率的に使い、天候に左右されずお参りしやすいことや、管理が行き届いている点も特徴です。
永代供養との違い
納骨堂と永代供養は混同されることがありますが、それぞれ意味が異なります。
納骨堂は「遺骨を納めるための施設」そのものを指します。一方、永代供養は「遺族に代わって霊園や寺院が遺骨を管理し、供養を続ける仕組み」です。納骨堂の中には永代供養付きプランを用意しているところも多いですが、すべてが永代供養を含むわけではありません。
永代供養を希望する場合は、納骨堂だけでなく、樹木葬や合祀墓、集合墓なども含めて幅広く検討するとよいでしょう。
納骨堂の種類とそれぞれの特徴
納骨堂にはさまざまなタイプがあり、設備や費用、供養のスタイルが異なります。ここでは、代表的な6つのタイプをご紹介します。
【納骨堂の種類】
タイプ | 費用感の目安 | 主な特徴 |
---|---|---|
ロッカー型 | 20万~80万円程度 | ロッカー式の棚に納骨。省スペースで安価、個別供養が可能。デザイン性も向上。 |
仏壇型 | 50万~150万円程度 | 家庭の仏壇風。上段は参拝用、下段に遺骨。1家族分でゆったり、費用は高め。 |
自動搬送型 | 80万~150万円程度 | ICカード操作で遺骨を自動搬送。都市部向け、便利で高価格帯。 |
位牌型 | 10万~20万円程度 | 位牌を安置、遺骨は別保管が一般的。省スペースで安価だが仕様に差がある。 |
墓石型 | 100万~200万円程度 | 屋内に墓石を設置。従来の墓に近いが、墓石代などで高額になりやすい。 |
合葬型 (合祀型) |
3万~10万円程度 | 他の方と合同で納骨。費用を抑えられるが、遺骨は取り出せない。 |
ロッカー型の納骨堂
コインロッカーのように棚が並ぶシンプルな構造で、骨壷を個別に納めるタイプの納骨堂です。以前は見た目が味気ないとして敬遠されることもありましたが、近年はデザイン性を高めたものや、小さなお仏壇を内蔵してお参りしやすくしたものも登場し、人気が高まっています。
スペースは小さいものの、完全に個別の区画で供養できる点が大きなメリットです。費用を抑えたい方にも選ばれています。
仏壇型の納骨堂
仏壇型は、家庭の仏壇をそのまま並べたようなスタイルの納骨堂で、霊廟型とも呼ばれます。構造は上段と下段に分かれており、上段は位牌や遺影を置いてお参りするスペース、下段に遺骨を安置します。
1列すべてが1家族分になるため、ほかの方を気にせずお参りできるのが魅力です。ロッカー型よりもゆとりがあり、参拝がしやすい反面、費用はやや高めの傾向があります。
自動搬送型の納骨堂
自動搬送型は「マンション型」「ビル型」「カード式」などとも呼ばれる、ハイテク型の納骨堂です。バックヤードに保管された遺骨を、ICカードやタッチパネル操作で自動的に参拝ブースまで運ぶ仕組みです。
都市部の土地不足に対応した効率的な設計で、天候に左右されず、アクセスしやすい立地にあることも多いのが魅力。ただし設備が充実している分、費用は高めになる傾向があります。
位牌型の納骨堂
位牌型は、位牌を安置するスペースを設けた納骨堂です。多くは位牌棚に故人の位牌を並べ、遺骨は別の合祀スペースにまとめて保管する形式です。中には位牌と遺骨を同じ区画に置けるタイプもあります。
仏壇型と比べて個別スペースが小さく済むため、費用は比較的安価。ただし、サイズや仕様によってはロッカー型より高額になる場合もあります。
墓石型の納骨堂
墓石型は、建物内に墓石を設置したタイプで、屋内にいながらお花やお線香を供えるなど、従来のお墓に近い形でお参りできます。
一方で、納骨堂の管理料に加えて墓石代がかかるため高額になりやすい点や、不要になった場合の墓じまいの手続きが必要になる点には注意が必要です。
合葬型(合祀型)の納骨堂
合葬型(合祀型)は、最初から他の方の遺骨と一緒に納める形式です。永代供養付き納骨堂では一定期間後に合祀されるプランもありますが、合葬型は納骨と同時に合祀されるのが特徴です。
費用を抑えられるメリットがある一方で、合祀された遺骨は二度と取り出せないため、慎重に検討する必要があります。
納骨堂の運営主体の違い
納骨堂は、運営主体によって特徴やサービス内容、費用感が異なります。選ぶ際は「どこが運営しているか」も重要なポイントです。
【運営主体別 納骨堂の特徴】
運営主体 | 特徴 | 費用感・メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
寺院 | お寺が管理。法要もていねいで安心。 | 永代供養の信頼性◎。費用は幅広い。 | 檀家不要だが寺ごとに条件が異なる。 |
民間企業 | 民間の会社や法人が運営。 | 設備・サービスが充実。自由度高め。費用は高め。 | 事前に契約内容を要確認。 |
自治体 | 市区町村などの公的期間が運営。 | 安価で倒産リスクなし。 | 居住年数要件や設備の質に注意。 |
寺院が運営する納骨堂
一般墓では檀家になる必要がある場合がほとんどですが、納骨堂では檀家にならなくても利用できるケースが多く、宗教や宗派を問わず申し込めます。
お寺が管理するため、法要をていねいに執り行ってもらえる安心感があり、永代供養も任せやすいのが大きな魅力です。費用は個人用や家族用など区画の種類によって幅があります。
民間企業が運営する納骨堂
お寺から委託された企業や社団法人などが運営する納骨堂です。民間サービスらしく設備が新しく、バリアフリー対応や自動搬送システムなどが充実している場合が多いです。
宗教を問わず利用できますが、費用はやや高めになりやすいため、サービス内容や契約条件をしっかり確認することが大切です。
自治体が運営する納骨堂
市区町村などの自治体や公的機関が運営する納骨堂です。宗教・宗派を問わず利用できますが、一定期間以上その自治体に住んでいることなど、申し込みに条件がある場合もあります。
設備やサービスは民間に比べてシンプルなことが多いですが、費用が抑えられ、倒産リスクがない安心感が魅力です。
納骨堂のメリット・デメリット
納骨堂を選ぶ際は、一般墓や樹木葬など他のお墓の形式との違いをよく理解しておくことが大切です。納骨堂ならではのメリット・デメリットを見てみましょう。
納骨堂のメリット
費用を抑えやすい
一般墓のように大きな墓石を建てる必要がなく、比較的リーズナブルに利用できます。
管理の手間が少ない
屋内型のため雨風で汚れる心配が少なく、掃除や草むしりなどの手間がかかりません。
アクセスが良い立地が多い
都心部に設けられるケースが多く、公共交通機関を使ってお参りしやすいのも魅力です。
永代供養付きプランも充実
後継者がいなくても供養を任せられ、お墓の相続問題を心配せずに済みます。
納骨堂のデメリット
スペースを共用する場合が多い
ほかの利用者と同じ建物を使うため、一般墓に比べて落ち着いてお参りしにくいと感じる人もいます。
お盆などは混雑することも
繁忙期は順番待ちになる場合があり、ゆっくりお参りできないことがあります。
老朽化や災害リスク
建物の老朽化や、地震などの災害で損壊するリスクもゼロではありません。
一定期間後に合祀されるケースがある
永代供養付きでも、期間を過ぎると合祀される場合が多い点を理解しておきましょう。
納骨堂を見学する際のチェックポイント
納骨堂は一度契約すると長く利用するものです。パンフレットやホームページの情報だけでなく、実際に見学して細かい点を確認することが大切です。以下のチェックポイントを参考に、後悔しない納骨堂選びを進めましょう。
立地・アクセスのしやすさ
自宅や実家からの距離、公共交通機関でのアクセス、周辺環境などを確認。
参拝スペースの雰囲気
屋内の清潔さや明るさ、落ち着いて手を合わせられる雰囲気かどうかをチェック。
納骨堂の種類と設備
ロッカー型、仏壇型、自動搬送型など希望のタイプがあるか、設備の使いやすさを確認。
管理・運営体制
管理が行き届いているか、スタッフの対応や法要などのサポート体制も大切。
費用関連
使用料、管理費、永代供養料など総額の目安を確認し、予算と比較。
契約内容・規約
永代供養の期間や合祀のタイミング、解約時の対応など、細かい契約条件を理解しておく。
ライフスタイルや気持ちに添った納骨堂を選びましょう。
骨壷の収蔵方式や運営主体によってさまざまなタイプにわかれる納骨堂。費用やアクセス面ももちろん大切ですが、ご先祖さまに手を合わせる場所としてご本人や家族がしっくりくるか、ということがとても重要。こればかりは、現地に足を運んで確かめてみないことにはわかりません。ぜひ、いくつかの納骨堂に見学に行き、ご自身のライフスタイルや気持ちに沿ったものを選んでくださいね。