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投稿日:2022年2月9日

#5 お墓を建てる意義

お墓を建てる意義について。お墓は死者を供養するためのだけのものではありません。この世に残された人の心の拠り所であり精神生活の基盤としても大切なものです。
2011年3月東北地方を襲った大地震のとき、多くの墓石が倒壊し墓地はがれきの山となりました。その大地震からわずか3カ月後、墓地のあったところを訪れると、地震で倒れ、津波で流された墓石を3日がかりで探し、立て直しているご家族にお会いしました。お話を伺いすると、家族が無事だったのはご先祖様が守ってくださったから、そのご先祖様に感謝し、無事を報告しなければとおっしゃっていました。私はお墓がこの世に残された方の心の拠り所になっていることを改めて強く感じました。
お墓は亡くなった人を偲び、語りかけ、想いを語るところです。また亡くなった人が持っていた徳や能力を称え、その人たちを目指して努力する心を培うためにも大切なものなのです。
例えば、経営者であるなら経営の神様とも言われる松下幸之助さんのお墓に、歌手を志しておられる方なら美空ひばりさんに、漫画家を志すなら手塚治虫さんのお墓に、お参りをして、語り掛け、想いを語り、教えを乞う、そしてその人を目指して努力するお墓はそういった意味でも大切なものなんですね。
このお墓は働きもんだったおばあちゃんを偲んでご家族がお建てになったお墓です。おつかれさまひと休みしてくださいという文字はお孫さんが書かれました。おにぎりや湯飲み、そして蚊取り線香入れは、おばあちゃんが毎日畑仕事に持って行かれたものなんですね。仏教では亡くなった人をいつまでもいつまでも忘れないことに勝る供養はないと教えています。
お墓が無いと亡くなった人を思い出す対象が無くなってしまいます。このお墓がある限り、お参りする度に、ご家族はあるし日のおばあちゃんを思い起こし、語り継いでいかれることでしょうね。