未来のお墓研究所
故人を身近に感じながら供養できる手元供養とは?
大切な人を失うことはとてもつらいことです。喪失感から何も手につかなくなったり、外出することが少なくなったりと、日常をなかなか取り戻せないこともあるでしょう。そうした中、近年少しずつ増えているのが手元供養という新しい供養の形です。今回は手元供養についてご紹介いたします。
1. 手元供養とは
一般的に火葬された遺骨はお墓に納骨し供養しますが、手元供養とは、遺骨の全てもしくは一部を分骨し、自宅で管理・供養する方法で、自宅供養とも呼ばれています。
全骨の場合はすべての遺骨を自宅に置きますが、骨壺に入れたままの場合と、遺骨を細かく粉骨して小さな骨壺に入れ替える場合があり、最近では骨壺を納められる仏壇も販売されています。
分骨する場合は遺骨の一部だけを手元におき、残りの遺骨はお墓に納骨します。
お墓は一般的なお墓や永代供養墓、樹木葬、海や山への散骨などさまざまなケースがあります。
もし火葬場で分骨する場合は、後々手元供養していた遺骨を納骨することになった場合必要となるため、分骨証明書や火葬証明書を受け取って保管しておくようにします。
2. 手元供養が増えている理由
大切な家族を失い悲しみから日常を取り戻せないでいる場合には、遺骨を身近に置くことは、故人を身近に感じながら少しずつ心を癒すために必要なことなのかもしれません。
気持ちの整理がつくまでそばに置いておき、落ち着いたら納骨することもできます。
また、お墓が遠くにあってなかなかお墓参りに行けないため、分骨して自宅で供養するケースもあります。
結婚や転勤などで地元から離れて暮らしていたり、体が不自由になって外出が難しくなって手元供養を選ぶなど、それぞれ事情は異なります。
他にも、経済的な理由からお墓を建てられず、比較的費用がかからない手元供養を選ぶこともあります。
いつまでに遺骨を納骨しなくてはいけないという決まりがないため、ゆとりができてからお墓を購入したり、永代供養墓や散骨などにして費用を抑え、一部を手元供養にすることも可能です。
このように様々な理由から、近年手元供養が広まってきているのです。
3. 手元供養のメリット・デメリット
手元供養にはメリットもあればデメリットもあります。
メリットの一つは、故人を身近に感じられることです。
故人の遺骨を自宅に置いたり身に着けたりすることで、お墓に納骨するより身近に存在を感じられ、心の支えとなってくれます。また、高齢になって体が不自由になってくるとお墓参りに行くことが難しくなってきます。
そうしたとき手元供養であれば、自宅でいつでも供養できお墓参りの必要はありません。
他には、前述したように手元供養なら一般墓を購入するよりは費用が抑えられ、永代供養を選べば子どもへの負担もなくなります。
しかし、手元供養にはデメリットもあります。一つは近年生まれた形であるため、親戚や家族から反対されるケースも多いようです。年配者によっては分骨することを「あの世で故人が迷う」と言う人もいます。
また、家族から家に遺骨があることを嫌がられることもあります。人によっては遺骨が怖いと思うこともあり、家族の説得が必要となるでしょう。
他には、アクセサリーなどで身に着けている場合、紛失したり壊れたりしてしまう危険もあります。供養する人が亡くなった後に遺骨をどうするかも手配しておく必要があります。
4. 手元供養の種類
手元供養は大きく分けて、自宅で遺骨を骨壺に入れて保管するケースと、身近に付けられるものに入れて持ち運ぶケースに分かれます。自宅で保管する場合は、ミニ骨壺やミニ仏壇、プレートなどがあり、身に付けるタイプはペンダントやブレスレット、指輪やキーホルダーなどがあります。
ミニ骨壺
遺骨は粉砕してパウダー状にしてからミニ骨壺に納めます。本来の骨壺よりもコンパクトサイズになっており、素材はガラス製や陶器、木製、金属製などさまざまなものがあります。部屋に置くことを前提に作られているので、モダンなデザインやインテリアになじむものなど、一見骨壺に見えないものもあります。
ミニ仏壇・飾り台
仏壇がある場合は遺骨を仏壇に納めますが、ない場合はインテリアに合うミニ仏壇や飾り台などを用意するといいでしょう。
最近では、手元供養専用のミニ仏壇などもありますので、探してみるといいでしょう。
ぬいぐるみ
一見して遺骨が入っているとわからないように、クマなどのぬいぐるみに遺骨を入れられるようにしてあります。特にペットの供養などに選ばれているようです。
遺骨プレート
遺骨プレートとは、遺骨から不純物を取り除いてパウダー状にして金属化合物粉末と合成加工し、プレート状に加工したものです。プレートには故人の名前や死亡の年月日、故人の好きだった言葉など自由に刻印することができ、インテリアとして飾ることができます。
アクセサリー
身に着けられるようにアクセサリーの中に遺骨の一部をパウダー状にして入れられるものがあります。ペンダントやブレスレット、指輪、キーホルダーなどさまざまなものがあり、素材にプラチナやゴールドを使ったり、ダイヤモンドなどの石を装飾したりして高価なジュエリーに見えるものもあります。
手元供養をする場合は、必ず事前に家族や親族とよく話し合うことが必要です。
中には分骨をよく思わない人がいるため、後からトラブルにならないようにしましょう。
また遺骨を納める入れ物は様々なものが販売されており、費用も異なるため、ネットやお店などで調べてみるといいでしょう。