

未来のお墓研究所
供養
雛人形の正しい供養・処分方法とは?お焚き上げ供養のポイントを解説

目次
雛人形を手放すタイミング
雛人形を手放すタイミングとして多いのは、子どもの成長や独立を迎えたときです。もともと雛人形は、女の子の健やかな成長と幸せを願って飾るもの。その役割を果たしたと感じたら、供養や処分を検討する良い機会です。
また、住宅事情や収納スペースの問題から飾らなくなったときも、見直しのタイミングといえます。引っ越しや実家の片付けなど、暮らしの環境が変わった際に手放すケースも多く見られます。数年飾っていない、出すのが負担になっている場合は、役目を終えたサインと捉え、感謝の気持ちを込めて供養を検討するとよいでしょう。
雛人形の供養・処分方法の種類
雛人形はただ廃棄するのではなく、感謝を込めて丁寧に手放すことが望ましいでしょう。ここでは、代表的な供養・処分の方法についてご紹介します。
神社・寺院での人形供養
身近な方法は、神社や寺院で行われる人形供養です。持参または郵送で受け付けてくれるケースがあります。僧侶や神職が祝詞や読経をあげてくれるため、安心して手放すことができるのが特徴です。費用は数千円〜1万円程度が相場で、予約が必要な場合もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
人形供養のイベント
地域の神社や寺院、雛人形を扱う専門店などが主催する「人形供養祭」も広く利用されています。複数の人形をまとめて供養してもらえることが多く、費用を抑えやすいのがメリットです。開催時期が年に数回と限られていることもあるため、公式情報を早めに確認しましょう。
葬儀社に依頼する
雛人形やぬいぐるみ、お守りなどを供養してくれる葬儀社に依頼する方法もあります。持ち込みだけでなく、自宅への引き取りや郵送に対応しているところも多く、大きな段飾りや量が多い場合でも安心です。また、供養当日に立ち会うのが難しい場合は、お焚き上げ終了後に報告してもらえるサービスを選ぶと、「しっかり供養できた」という安心感が得られます。
自治体での回収・粗大ごみとして処分する場合
自治体の粗大ごみや可燃ごみ・不燃ごみとして処分することも可能です。ただし、雛人形は子どもの成長を見守ってきた特別な品であり、単なる廃棄物として扱うのはあまり望ましい方法とはいえません。やむを得ずこの方法を選ぶ場合は、処分前に塩でお清めをするなど、簡単な儀式を行ってから出すとよいでしょう。
また、地域によっては人形が可燃ごみとして出せないケースもあるため、事前に分別ルールや回収方法を必ず確認してください。
リサイクル・譲渡・寄付という選択肢
リサイクルショップへの持ち込みや知人への譲渡、施設への寄付など、再利用という形で手放す方法もありますが、雛人形の場合は注意が必要です。
雛人形は単なる飾りではなく、「子どもの災厄を引き受けてくれる守り神」としての役割を担ってきた特別な存在です。そのため、別の家庭へ譲る行為は、本来の役割や意味を考えるとあまり望ましい方法とはいえないでしょう。
お焚き上げによる供養とは
雛人形を丁寧に手放す方法の中でも、よく選ばれているのが「お焚き上げ」です。ここでは、お焚き上げの意味や流れについて見ていきましょう。
お焚き上げの意味と歴史的背景
お焚き上げとは、神仏に関わる品や故人の遺品、長く大切にしてきた愛用品などを手放す際に行う供養の儀式です。祈祷や読経で浄化したのち、火で焚き上げて感謝とともに天へ送り返します。神道では「魂の宿った品を天に還す」、仏教では「故人へ返す」とされ、いずれも火の浄化の力を重んじています。
起源は平安時代にさかのぼり、宮中で行われた火祭りや護摩法要が原型とされます。こうした神事や宗教行事が、正月のどんど焼きや、魂が宿ったものを丁寧に送り出すお焚き上げの風習へと受け継がれているようです。
お焚き上げの流れ(受付・供養・焼納)
一般的なお焚き上げは、まず神社・寺院、または葬儀社など専門会社への受付から始まります。申し込み後、神職や僧侶によって祝詞や読経があげられ、人形に宿る魂を鎮める供養が行われます。その後、清められた人形は焚き火や専用炉で焼納(しょうのう)されます。
お焚き上げ供養の費用相場
お焚き上げの費用は、依頼先や供養の形式によって異なります。人形供養祭などで合同供養を行う場合は、雛人形1体につき500円〜3,000円程度、1箱あたり3,000円〜1万円程度が一般的です。
一方で、寺社へ個別に依頼する場合は、1体あたり5,000円〜1万円程度が相場となり、合同供養に比べて高額になりますが、その分丁寧に供養してもらえる安心感があります。
段飾りなど大きな人形や点数が多い場合は追加費用がかかることもあるため、事前に料金体系やサービス内容を確認しておくとよいでしょう。
お焚き上げ供養に出す際のポイント
雛人形をお焚き上げに出す前に確認しておきたいポイントを見ていきましょう。
人形以外の付属品の扱い
雛人形には、屏風やぼんぼり、飾り台、ガラスケースなどの付属品が含まれることがありますが、これらはお焚き上げの対象外とされる場合も少なくありません。特にガラス製のケースなどは燃やすことができないため、自治体の分別ルールに従って処分する必要があります。
どこまで供養対象に含まれるかは依頼先によって異なるため、申し込み前に必ず確認しておきましょう。付属品もまとめて供養してもらえるサービスを選ぶと、手間を減らすことができます。
感謝を込めて最後に飾る
お焚き上げに出す前には、これまでの役割に感謝の気持ちを込めて、最後に一度きちんと飾るのもおすすめです。短い時間でも、雛人形をきれいに飾り、これまでの思い出を振り返ることで、気持ちの整理がつきやすくなります。
子どもの健やかな成長を願い、家族の節目を見守ってくれた大切な存在だからこそ、丁寧な気持ちで送り出すことが、よりよい供養につながるでしょう。
雛人形とのお別れには、感謝を込めてお焚き上げ供養を
雛人形は、子どもの成長や家族の幸せを見守ってきた“想いの象徴”です。だからこそ、感謝の気持ちを込めて丁寧に供養し、次のステージへと送り出してあげましょう。
お焚き上げや供養祭といった方法を選ぶことで、人形に宿る想いや記憶を大切にしながら、心穏やかにお別れを迎えられるでしょう。雛人形とのお別れが、思い出を静かに胸にしまう大切な時間となりますように。












