未来のお墓研究所
供養
遺品整理ってどうやるの?遺品整理のタイミングや業者の費用相場を解説
そこで今回は、少しでも遺品整理をスムーズに進められるよう、遺品整理の流れと業者に頼む場合の費用相場、業者選びのポイントについて解説します。
目次
遺品整理とは?形見分けとの違い
「遺品」とは故人が残したものの総称で、家具や家電、衣類・趣味の品などあらゆる品が含まれます。遺品の中でも、金銭的価値の高い不動産や高級車・宝石などは「遺産」として区別して扱われます。
一方、「形見」とは故人の思い入れが深かったものを指します。代表的な形見は、故人がよく使用していた時計やアクセサリー、思い入れのある衣服や服飾雑貨、趣味の品などです。形見を家族や友人と分配することを「形見分け」といいますが、近年は本人の意向で生前に形見分けを行うこともあります。
生前整理である程度身の回りのものを減らすことはできますが、完全になくすことはできません。よって、程度に差はありますが、身内を亡くした方はほとんどの場合、遺品整理をすることになるでしょう。
遺品整理をするのは法定相続人
一般的には、遺品整理を行うのは法定相続人で、亡くなった方の配偶者・子ども・父母・祖父母・兄弟姉妹などが挙げられます。
ただし、故人の家屋を相続した相続人がいれば、その方が遺品整理をすることになるでしょう。故人に借金などの負債があって相続放棄する場合、行政が遺品整理することになります。その際、勝手に家具や家電などを処分すると、相続放棄が認められなくなる可能性があるため注意が必要です。
法定相続人が遺品整理を行う際には、自身の手で作業を行うこともありますし、専門業者に依頼することも少なくありません。
遺品整理はいつから始めるのか
遺品整理を始めるタイミングに決まりはありません。負担が大きい作業ですので、ご自身の心身が落ち着いてからで構いません。次のようなタイミングを目安にするとよいでしょう。
・葬儀が終わってから(亡くなって7日後〜)
・社会保険、役所等の手続き後(亡くなって14日後〜)
・四十九日の法要後
・相続放棄の期限前(亡くなって3ヶ月以内)
・相続税の申告期限(亡くなって10ヶ月以内)
遺品整理の流れ
ここからは遺品整理の流れをご紹介します。遺品の種類ごとのポイントを見ていきましょう。
遺言状がないかを確認する
最初にやるべきなのは、遺言状がないかを確認することです。遺言状で遺品の受取人を指定している場合があり、その後の作業に影響するからです。
遺言状が見つかったら、封を勝手に開けてはいけません。家庭裁判所で検認という手続きを受ける必要があり、裁判所に申立書を提出して手続きを進めます。詳しくは管轄の裁判所のホームページをご確認ください。
遺品を仕分ける
遺品を「貴重品」「形見」「リサイクル」「処分」に分類します。遺品にテープや貼り紙で目印をつけて分類するとスムーズです。
以下は分類の一例です。故人やご家庭によって分類の仕方は異なりますので、参考程度にご紹介します。
貴重品 | 預金通帳、印鑑(銀行印・実印)、権利書など不動産関連書類、保険の証書と関連書類、有価証券など金融資産の書類、各種契約書、パスポート、宝石・貴金属、美術品・骨董品など |
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形見 | 時計、アクセサリー、衣服(着物・帯)、服飾雑貨、写真、美術品・骨董品、趣味の品など |
リサイクル | 家電(エアコン・洗濯機・冷蔵庫・テレビ・パソコン・電話)、家具(ベッド・タンス)、食器、衣類など |
処分 | 燃えるゴミ、燃えないゴミ、粗大ゴミなど |
後処理を行う
分類に応じて形見分けや売却・廃棄といった処理を行い、家を掃除します。賃貸住宅の場合は現状復帰も必要です。持ち家の場合は、家や土地の名義変更も忘れないようにしましょう。
デジタル遺品の整理
近年はデジタル遺品の整理に苦労するケースも少なくありません。スマートフォンやパソコンを処分する前に、個人情報などのデータを完全に消去しましょう。また、SNSのアカウントやネット銀行口座、その他サブスクリプションサービスの解約も行います。
デジタル遺産は目に見えないもののため、遺族がアカウントに入って手続きするのもひと苦労です。遺族に苦労をかけないためにも、生前にアカウント情報をエンディングノートに書き記しておくか、ある程度整理しておくのが望ましいでしょう。
専門業者に遺品整理を頼む場合
自分たちだけで遺品整理を行うのは重労働です。また、故人の家が遠方にあるため、行くのが難しい方もいるでしょう。そういった理由から、専門業者に遺品整理を頼む方も少なくありません。ここからは、専門業者に依頼する際のポイントを見ていきましょう。
業者に依頼できる内容
業者によって異なりますが、次のような作業を依頼できます。
・遺品の仕分け
・貴重品の探索
・清掃
・買取
・遺品の供養
・配送
費用の目安
依頼する作業内容や物量によって費用に差はありますが、部屋の広さがひとつの目安になります。
マンションの場合、ワンルーム約2万円〜3LDK約25万円。戸建ての場合、平屋2DK約15万円〜二階建て5DK約30万円が目安となります。
業者を選ぶ時のポイント
故人の思い出が宿った遺品ですので、大切に扱ってくれる業者を選びたいものです。できれば複数の会社に見積もりをとり、やり取りを通して対応が信頼できるところを選びましょう。
遺品整理士の資格を持ったスタッフがいるかも、ひとつの基準になります。遺品整理士には、遺品整理の取り扱いや法規制などの知識面に加え、高い順法精神と倫理観が求められます。故人や遺族の気持ちに寄り添って作業を行ってくれるでしょう。
また、遺品整理とともに不用品の処分・買取も行ってくれる業者を選ぶと便利です。
遺品整理のよくあるお悩み・ポイント
ここからは、遺品整理のよくあるお悩みや、困らないためのポイントを見ていきましょう。
形見分けはどのようにするのか
まず、形見分けは必ずしなくてはいけないものではありません。ただし、自分だけで判断すると後のトラブルに繋がる場合がありますので、親族間で話し合って決めましょう。
形見分けは、故人の配偶者・子どもや孫・友人などで行います。基本的には、目上の方から目下の方に渡すもので、目上の方にお渡しするのはマナー違反とされています。目上の方に渡すのは、本人から強い希望があった時だけにしましょう。
遺品はプレゼントではないため、箱に入れたり包装したりしません。そのままお渡しするか、半紙などの白紙で包む程度が良いでしょう。壊れたものは避け、キレイにした状態で渡します。
残った仏壇はどうするのか
残った仏壇は引き継ぐのが好ましいですが、住宅事情などで難しいこともあるでしょう。その場合は、仏壇じまいをしてコンパクトな仏壇に買い換えるという手もあります。最近はミニ仏壇やモダン仏壇と呼ばれる、現代の住環境に合ったコンパクトでモダンな仏壇が増えています。ご自身の住宅に合った仏壇を探してみると良いでしょう。
お墓を引き継いだ場合
仏壇と同様、お墓も引き継ぐのが好ましいです。お墓が遠方にあるなどで引き継ぐのが難しい場合は、墓じまいをして新しいお墓に改葬する方法があります。最近は、樹木葬や納骨堂など永代供養してくれる新しいスタイルのお墓が登場しています。遺産整理を機に、ご自身のライフプランや供養の考えにフィットしたお墓を検討するのもおすすめです。
生前にエンディングノートを遺しておく
ご紹介したように、遺品整理は決して楽な作業ではありません。心身ともに負担の大きい作業といえます。残された家族の負担をできるだけ軽減する方法として、エンディングノートを作っておくのがおすすめです。
エンディングノートにアカウント情報や資産の情報、葬儀・お墓の希望などを記しておくと、遺族が整理や手続きするうえでスムーズに進められるでしょう。
多くの方が経験する遺品整理。心身が落ち着いたタイミングで取り組みましょう
遺品整理は、程度に差はあれ、身内を亡くした多くの方が経験することです。家具や家電などの大きなものから、故人の思い出が詰まった品や高級品まで。あらゆるものが遺品にあたるため、それらを整理するのは大仕事です。場合によっては専門業者を利用しながら、無理せずご自身の心身が落ち着いたタイミングで行ってくださいね。