未来のお墓研究所
お墓に遺骨がいっぱいで入らない!粉骨や改葬など、知っておきたい対処法を解説
目次
お墓に納められる遺骨には限りがある
お墓の下の遺骨を納めるスペースのことを「カロート」または「納骨室」といいます。関東ではカロートに骨壷が納められるのが主流ですが、地域によっては遺骨を袋に入れて納めることもあります。
カロートに納められる骨壷の数には限りがあるため、先祖代々継承してきたお墓がいっぱいになってしまうケースは少なくありません。また、近年の一般墓はコンパクトに作られる傾向にあるため、いずれ遺骨が入らない問題にぶつかることも考えられます。
何人分の遺骨がお墓に入るのか
一般的なお墓のカロートであれば、6〜8人分とされています。よって、先祖代々のお墓に夫婦が眠っている場合、3〜4世代分の遺骨があると考えられるでしょう。
近年のコンパクトなお墓であれば4〜6人分、カロートの広いお墓であれば6〜8人分が納まる場合もあります。カロートの状況を確認したい場合は、霊園や寺院などお墓の管理者に相談してみましょう。
遺骨がいっぱいになった時の対処法
遺骨がいっぱいになった時は、次のような対処法が考えられます。ご家庭の考え方や予算などに合う方法を選んでください。
粉骨してコンパクトな骨壺に納める
粉骨とは、遺骨を粉末状に砕くことです。粉骨することでコンパクトになるため、今のお墓に新たなスペースを生み出せます。
自宅で粉骨することも可能ですが、体力的にも心理的にも負担が大きいため、専門会社に依頼することをおすすめします。会社・会社名が公表されており、料金設定が明瞭な信頼できる会社を選びましょう。心配な場合は、利用している霊園や寺院に相談してみましょう。
粉骨をすると遺骨の量が1/3~1/4程度になり、コンパクトな骨壺にも納めることができるようになります。
不要になった骨壷は、不燃ゴミとして自治体のルールに則って処分しても問題ありません。骨壷に名前が彫られている場合は、文字が読めないよう砕いてから処分しましょう。ゴミとして処分することに抵抗がある方は、塩でお清めをしてから処分するか、葬儀社などに相談してみてください。
粉骨して1つの骨壷をまとめる
粉骨して、複数の遺骨を一つの骨壷にまとめてスペースを確保する方法があります。遺骨が混ざることに抵抗がある場合は、納骨袋に入れてからまとめるとよいでしょう。
合祀墓に改葬する
合祀墓とは、ほかの遺骨と一緒に埋葬するお墓のことです。古い遺骨を取り出して永代供養つきの合祀墓に改葬することで、新たにスペースを確保する方法もあります。
合祀墓の費用相場は3万円〜10万円ほどです。一度合祀されるとほかの遺骨と混ざるため、遺骨を取り出したり改葬したりできなくなるため注意が必要です。
遺骨を土に還す
カロートの底が土になっている場合は、遺骨を埋めて土に還す方法もあります。遺骨をそのまま埋めることに抵抗がある方は、土に還る素材の納骨袋に納めてから埋めるか、粉骨してから散布してもよいでしょう。
カロートの底が全面コンクリートになっている場合は土に還すことができませんので、事前にカロート内を確認しておきましょう。
カロートを拡張する
カロート部分を拡張することも可能ですが、多くの場合はお墓の建て直しを伴います。カロートは墓石で建てられたお墓の基礎部分にあたり、上部にも影響を及ぼすからです。
中にはカロートだけの拡張が可能なお墓もあるため、霊園や石材会社に相談してもよいでしょう。カロート拡張工事の費用相場は10万円ほどです。
お墓を建て直す
お墓を建て直してカロートを拡張する方法があります。ただし、建て直しの費用相場は200万円ほどと高額で、お墓の撤去費用や閉眼供養・開眼供養のお布施代も必要です。予算的に難しい方は、ほかの対処法を検討することをおすすめします。
対処に適したタイミングとは
いざ納骨というタイミングで遺骨が入らない…となると慌ててしまいます。そうならないために、弔い上げのタイミングで古い遺骨を合祀墓などに改葬するのもひとつの方法です。
弔い上げとは、故人の供養を行う最後の年忌法要のことです。一般的には三十三回忌や五十回忌を弔い上げとすることが多いですが、近年は七回忌や十三回忌など、弔い上げを早める方も増えています。お墓のスペースの状況も鑑みて、弔い上げのタイミングを検討してもよいでしょう。
遺骨の扱いで気をつけたいポイント
粉骨したり骨壷をまとめたりすることに気後れするかもしれませんが、宗教的なタブーはありませんので心配無用です。しかし、家族や親族の中には強い抵抗感を覚える方もいるかもしれません。後のトラブルを避けるために、事前によく話し合ってから対処方法を選んでください。
遺骨でいっぱいになる前に、早めにお墓の確認を
お墓に遺骨が入らなくなった場合は、粉骨や改葬などいくつかの対処法があります。対処するにも、家族・親族と話し合ったり、対処方法によっては専門会社を探したりする時間が必要です。いざという時に慌てないよう、カロートにどれくらいのスペースがあるのか、いっぱいになったらどの対処法をとるのか、事前に確認して話し合っておくことをおすすめします。