未来のお墓研究所
供養
仏壇じまいとは。仏壇じまいの流れと、位牌・仏壇の処分方法を解説
目次
仏壇じまいとは
仏壇じまいとは、位牌を閉じて仏壇を処分することです。住宅事情の変化や供養の考え方の変化に伴い、仏壇じまいをする人が増えています。仏壇じまいが行われるのは、次のようなタイミングです。
・遺品整理
仏壇も墓と同様に継承者が必要ですが、継承者がいない場合は仏壇の処分が必要になります。また、仏壇を継ぐ家族が遠方に住んでおり、仏壇を移動させることが難しい場合や、仏壇を継ぐ側の住居に十分なスペースがない場合も、遺品整理の一環として仏壇じまいが行われます。
・引っ越し
引っ越しに伴うスペースの制約で仏壇じまいが行われるケースがあります。特に都市部では住居スペースが限られており、大きな仏壇を置くことが現実的でない場合も少なくありません。
・仏壇の買い替え
仏壇の老朽化による買い替えや、インテリアに合う仏壇への買い替え、部屋の大きさに合わせた小さい仏壇への買い替えなどでも、仏壇じまいが行われます。
・仏壇が2つになってしまう
夫婦それぞれの実家の仏壇を引き継ぐことで、仏壇が2つになるケースは珍しくありません。2つの仏壇を置くことは基本的に問題ないとされていますが、お寺や地域によっては望ましくないと考えられることもあります。このような場合、どちらか一方の仏壇を仏壇じまいするのが一般的です。
仏壇じまいの流れ
仏壇はただの物ではないため、単に解体処分するわけにはいきません。閉眼供養で魂抜きを行ったあと、第三者に依頼して処分してもらうか、自分で処分します。ここでは、仏壇じまいの基本的な流れを紹介します。
親族に連絡する
仏壇じまいをする旨を親族に連絡しましょう。仏壇は祖先や故人を供養する場所であり、多くの思い出や感情が結びついています。勝手に仏壇じまいをすると、親族の中で不快感や悲しみを引き起こす可能性があります。トラブルを避けるためには、親族に連絡し、了承を得ることが大切です。
閉眼供養を行う
仏壇は普通の家具とは異なり、処分前に「閉眼供養」という法要を行います。閉眼供養とは、仏壇に宿った仏様の魂を僧侶の読経によって抜いてもらう儀式です。また、長年にわたって家族の供養を支えてきた仏具を尊重し、故人や祖先への敬意を表す重要なステップでもあります。
仏壇を処分することにうしろめたさを感じる人は少なくありませんが、閉眼供養を行うことで心の整理を助ける役割も果たします。
仏壇の整理
仏壇には、土地の権利書や通帳・印鑑、家系図など、大事な書類が収められていることがあります。仏壇を処分した後では取り戻せないため、搬出前に仏壇の整理をし、大事なものが収められていないか確認しておきましょう。この際には、仏壇の内部で供養していた位牌や引き出しの中の仏具なども見落とさないよう注意が必要です。
位牌・仏壇を処分する
位牌や仏壇の処分は、費用などを考慮して自身でその方法を選べます。処分方法には菩提寺や仏具店への依頼などがあり、詳細は後述します。
浄土真宗では閉眼供養ではなく「遷座法要」
仏壇じまいをする際、浄土宗・真言宗・曹洞宗などは閉眼供養を行いますが、浄土真宗では閉眼供養を行いません。これは、浄土真宗では仏壇に魂が宿るという考えがないためです。
その代わりに、遷座法要(せんざほうよう)を行います。遷座は阿弥陀さまに移動していただくという意味 を持ち、他宗派における閉眼供養のように僧侶に読経してもらいます。遷座法要を通じて故人や祖先への想いをしっかりと伝え、ひと区切りつけた後で仏壇の処分を行います。
仏壇じまいの閉眼供養の頼み方
日頃お世話になっている菩提寺がある場合は、基本的には菩提寺に依頼するのが望ましいです。これまでに築かれた関係もあり、安心して依頼できるでしょう。菩提寺がない場合は、僧侶の手配サービスを利用するか、仏壇・仏具店に相談し、僧侶を紹介してもらいます。
閉眼供養の費用は、お布施として僧侶に渡します。金額には地域差がありますが、相場は3~5万円程度。不安な場合は、事前にお寺に相場を尋ねてもマナー違反ではありません。そのお寺で受け取っているお布施の相場を教えてもらいましょう。
位牌・仏壇の処分方法
閉眼供養を終えた位牌・仏壇の処分方法には、以下の4つがあります。
・菩提寺に依頼する
・仏具店に依頼する
・専門業者に依頼する
・自分で粗大ごみに出す
ここでは、それぞれの処分方法を紹介します。
菩提寺に依頼する
菩提寺がある場合は、閉眼供養を行った後、そのまま引き取ってもらうことが多いです。菩提寺ではないお寺でも、依頼できるケースもあるため相談してみるとよいでしょう。
仏具店に依頼する
仏具店への依頼も、一般的な処分方法です。仏壇・仏具を専門に扱うため、スムーズに進められ、安心して任せることができます。菩提寺がない場合や、閉眼供養をお願いするお寺が見つからない場合は、僧侶の紹介も含めて依頼するとよいでしょう。
専門業者に依頼する
仏壇の引き取り処分を請け負う専門業者があります。処分のみの依頼、もしくは閉眼供養も含めた依頼を選択できる業者もあるため、状況に合わせて検討するとよいでしょう。
また、リサイクル業者や不用品回収業者が引き取り処分に応じてくれることもありますが、閉眼供養までは請け負っていない業者がほとんどです。閉眼供養を行っていない仏壇の引き取りは拒否されることが多いため注意しましょう。
自分で粗大ゴミに出す
閉眼供養を行った仏壇は魂が抜かれているため、家具などと同様に粗大ゴミとして処分することもできます。ゴミの収集場所に出すことに抵抗がある場合は、自治体のゴミ処理施設に直接持ち込む方法もあります。
しかし、位牌をゴミとして処分するのは心理的に抵抗があるものです。仏壇を粗大ゴミとして処分する場合でも、位牌は閉眼供養をお願いしたお寺にて処分(お焚き上げ)してもらうとよいでしょう。
新しいスタイルの仏壇が人気
近年、ミニ仏壇やモダン仏壇などと呼ばれる、現代の住環境に合ったコンパクトでモダンな仏壇が増えています。伝統的な仏壇は豪華な装飾や大きなサイズが特徴でした。住環境が変化した現代は、インテリアに溶け込むシンプルでモダンなデザインの仏壇や、限られた住居スペースに適切に設置できるコンパクトな仏壇が人気です。
また、墓じまいと仏壇じまいを行ったのち、自宅墓専用の仏壇を設置するケースも増えています。自宅墓とは、仏壇の中にご遺骨を安置して供養する方法です。遠方までお墓参りに行けない場合や、お墓を継ぐ人がいない場合にも、お墓の管理なしで自宅で供養できるメリットがあります。
自宅墓専用の仏壇には、通常サイズの骨壺を収められてお墓の代わりになるもの、寝室や書斎などの部屋にも適する小さいサイズのもの、和室にも洋室にも合うデザインのものなど、さまざまなタイプがあります。
仏壇じまいは正しい方法で。自分らしい供養方法を見つけましょう
仏壇は、仏様の魂が宿ることを前提に祀られています。そのため、仏壇じまいの際には閉眼供養を行い、正しい方法で進めましょう。近年はミニ仏壇やモダン仏壇、自宅墓専用の仏壇などの需要が増えています。さまざまな供養の方法の中から、自分らしいスタイルを見つけましょう。